末期癌の父と共同名義の土地・建物、相続放棄とローンの行方｜相続と債務の複雑な関係を徹底解説

【背景】
* 父が末期癌と診断されました。
* 父と共同名義で土地・建物があり、ローンを折半で返済しています。
* 父の会社には5000万円の借金があり、実家も4000万円の抵当に入っています。
* 母と妹は年金暮らしで借金を返済できません。
* 私自身も5000万円の借金を肩代わりできるだけの余裕がありません。

【悩み】
母、私、妹全員で相続放棄した場合、共同名義の土地・建物のローンはどうなるのか、土地・建物はどうなるのか知りたいです。

相続放棄すれば、ローン債務も相続しません。土地・建物は債権者（金融機関）が処分します。

相続放棄とローン、土地・建物の行方

#### 相続放棄の基礎知識

相続とは、被相続人（亡くなった人）の財産や債務が相続人（法律上の後継者）に引き継がれることです。相続人は、被相続人の子供や配偶者などが該当します。しかし、相続は必ずしも受け継がなければならないものではありません。相続放棄とは、相続によって生じる財産だけでなく、債務（借金）も含めて、一切相続しないことを法的に宣言することです。民法では、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することで、相続放棄をすることができます。(相続開始とは、被相続人が死亡した時点です。)

#### 今回のケースへの直接的な回答

質問者様のご家族が全員相続放棄をすれば、父と共同名義の土地・建物は、相続財産として相続されません。そのため、ローン返済の義務も相続しません。ただし、土地・建物は、父が亡くなった時点で、金融機関の抵当権が設定されているため、金融機関が所有権を有することになります。金融機関は、抵当権を実行し、土地・建物を競売（競争入札による売却）に出す可能性が高いです。

#### 関係する法律や制度

このケースには、民法（相続に関する規定）と、抵当権に関する規定が関係します。抵当権とは、債務者が債権者（金融機関）に債務を履行しなかった場合に、抵当不動産を売却して債務を弁済する権利のことです。

#### 誤解されがちなポイントの整理

相続放棄をすれば、全ての責任から逃れられると誤解している方が多いです。相続放棄は、相続財産と債務の両方から解放されますが、既に発生している債務（例えば、ローン返済の遅延による延滞金など）については、相続放棄しても免除されません。

#### 実務的なアドバイスや具体例の紹介

相続放棄の手続きは、家庭裁判所への申述が必要です。専門の弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。彼らは、手続きの方法や、相続放棄による影響について、正確な情報を提供し、適切なアドバイスをしてくれます。また、金融機関との交渉も必要になる可能性があります。

#### 専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースのように、高額な債務が絡む相続は、非常に複雑です。相続放棄の手続きや、金融機関との交渉、今後の生活設計など、専門家のアドバイスなしに判断するのは危険です。弁護士や司法書士は、法律の専門家として、適切なアドバイスとサポートを提供してくれます。

#### まとめ（今回の重要ポイントのおさらい）

* 相続放棄は、相続財産と債務の両方から解放されます。
* しかし、既に発生している債務は免除されません。
* 高額な債務が絡む相続は、専門家に相談することが重要です。
* 相続放棄の手続きは、家庭裁判所への申述が必要です。
* 金融機関との交渉が必要となる可能性があります。

この情報は一般的な知識に基づいており、個々の状況に合わせた法的アドバイスではありません。具体的な状況については、必ず専門家にご相談ください。