テーマの基礎知識:法人と個人の責任
法人が負債を抱え、返済不能になった場合、その責任は原則として法人にあります。しかし、今回のケースのように、経営者やその家族が連帯保証人になっている場合、個人もその責任を負うことになります。
連帯保証(れんたいほしょう)とは、複数の人が同一の債務(借金など)について、それぞれが全額を支払う義務を負うことです。つまり、会社が返済できなくなった場合、連帯保証人である質問者とその夫は、会社の負債を肩代わりして支払う義務が生じます。
また、会社が税金を滞納した場合、その税金は会社の負債となります。会社が倒産した場合でも、未払いの税金は残ります。
今回のケースへの直接的な回答:自己破産と税金の支払い義務
1. 自己破産の手続きについて:
質問者夫妻が自己破産を検討している場合、弁護士費用をかけずに自分たちで手続きを進めることは可能です。しかし、手続きは複雑であり、専門的な知識も必要となるため、注意が必要です。裁判所が用意している書式や、インターネット上の情報を参考にしながら、書類を作成し、裁判所に提出することになります。
2. 税金の支払い義務について:
会社を休眠させ、代表者が自己破産した場合でも、27年度に滞納した税金(法人市民税、県民税、不動産取得税、固定資産税、法人消費税)の納税義務は、原則として会社に残ります。自己破産は個人の借金を免除するものであり、会社の税金には影響しません。
ただし、会社が倒産し、税金を支払う能力がないと判断された場合、税務署は未納の税金を回収できなくなる可能性があります。
関係する法律や制度:自己破産と税法
自己破産は、借金が返済できなくなった人が、裁判所に申し立てて、借金の支払いを免除してもらうための法的手続きです。「破産法」という法律に基づいて行われます。
自己破産の手続きは、大きく分けて「破産手続開始の決定」と「免責許可の決定」の二つがあります。
- 破産手続開始の決定:裁判所が、債務者の支払い不能状態を認め、破産手続を開始する決定です。
- 免責許可の決定:裁判所が、債務者の借金の支払いを免除することを許可する決定です。ただし、税金や一部の債務(悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償など)は、免責の対象とならない場合があります。
税金については、「国税徴収法」や「地方税法」といった法律で、滞納した場合の対応が定められています。税務署は、滞納した税金を回収するために、財産の差し押さえなどの措置を取ることができます。
誤解されがちなポイントの整理:破産と税金の関係
自己破産をすると、すべての借金が帳消しになるわけではありません。税金は、原則として自己破産によって免除されない債権(非免責債権)の一つです。
また、自己破産をすると、一定期間、職業や資格に制限がかかる場合があります。例えば、弁護士や税理士などの士業、警備員や生命保険募集人など、一部の職業に就けなくなる可能性があります。ただし、これは一時的なものであり、破産手続きが終了すれば、制限は解除されます。
実務的なアドバイスや具体例の紹介:自己破産の手続きと税金への対応
1. 自己破産の手続き:
自己破産の手続きは、裁判所に申立てを行い、裁判所の審理を経て行われます。手続きの流れは、以下のようになります。
- 申立て:裁判所に破産手続開始の申立てを行います。申立てには、破産申立書、債権者一覧表、財産目録などの書類を提出します。
- 審尋:裁判所が、債務者に対して、破産に至った経緯や財産の状況などについて質問します。
- 破産手続開始決定:裁判所が、破産手続を開始する決定を行います。
- 債権者集会:債権者(お金を貸した人)が集まり、債務者の財産の状況や、今後の手続きについて話し合います。
- 免責審尋:裁判所が、免責を許可するかどうかを判断するために、債務者に対して質問します。
- 免責許可決定:裁判所が、免責を許可する決定を行います。これにより、原則として、借金の支払いが免除されます。
2. 税金への対応:
自己破産をしても、税金の支払い義務は残ります。しかし、会社に財産がなく、税金を支払う能力がないと判断された場合、税務署は税金を回収できなくなる可能性があります。この場合、税務署は、会社の代表者(質問者の夫)に対して、未納の税金を請求することはできません。
ただし、会社の代表者が、会社の財産を隠したり、不正に処分したりした場合は、税務署から責任を追及される可能性があります。
3. 不動産競売への対応:
会社所有の不動産が競売にかけられる場合、以下の流れで進みます。
- 競売の開始:債権者(この場合は保証協会)が、裁判所に競売の申立てを行います。
- 競売の公告:裁判所が、競売の対象となる不動産の情報を公告します。
- 入札:入札希望者が、入札を行います。
- 開札:裁判所が、入札の結果を開示し、最高価格を提示した人が落札者となります。
- 代金納付:落札者が、裁判所に代金を納付します。
- 配当:裁判所が、売却代金から、債権者への配当を行います。
競売の結果、不動産の売却代金が、保証協会の債権(融資の残高)に充当されます。もし、売却代金が債権額に満たない場合、残りの債務は、連帯保証人である質問者夫婦が支払う義務を負います。
専門家に相談すべき場合とその理由:弁護士・税理士への相談
自己破産の手続きや、税金に関する問題は複雑であり、専門的な知識が必要です。以下のような場合は、弁護士や税理士に相談することをお勧めします。
- 自己破産の手続きについて:破産手続きは、書類の作成や裁判所とのやり取りなど、時間と労力がかかります。弁護士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができます。
- 税金の問題について:税金に関する問題は、専門的な知識がないと判断が難しい場合があります。税理士に相談することで、適切な対応策を見つけることができます。
- 競売に関する問題について:不動産の競売は、法律的な知識が必要となる場合があります。弁護士に相談することで、権利を守ることができます。
弁護士や税理士に相談する費用はかかりますが、専門家のアドバイスを受けることで、より適切な解決策を見つけることができ、結果的に費用を抑えられる可能性もあります。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回のケースでは、法人の経営不振に伴い、夫婦が連帯保証人として抱える債務と、自己破産、税金の問題が複雑に絡み合っています。
- 自己破産は、借金の支払いを免除する法的手続きですが、税金は原則として免除されません。
- 会社を休眠させても、滞納した税金の支払い義務は会社に残ります。
- 不動産が競売にかけられた場合、売却代金は債権者に配当され、残りの債務は連帯保証人が支払う義務を負います。
- 自己破産の手続きや、税金、不動産に関する問題は複雑であり、弁護士や税理士などの専門家に相談することを検討しましょう。
ご自身の状況を整理し、専門家のアドバイスを受けながら、最適な解決策を見つけることが重要です。

