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海外居住者が日本の不動産相続を放棄した場合、居住国の遺産への影響は?

【背景】
* 10年以上前に親が亡くなり、不要な不動産を含む遺産を相続しました。
* 現在、私は日本国外に居住しており、国籍を含め生活の本拠は居住国です。
* 日本にあるのは、私名義のこの「負動産」だけです。

【悩み】
将来、私が亡くなった時、相続人である子供は日本の裁判所に相続放棄の申立をしてこの不動産の相続を放棄しつつ、居住国(日本国外)にある私の遺産を何事もなく相続できるのかどうか疑問です。民法上の相続放棄が、居住国の法律に基づいて相続される居住国内の遺産に効力を持つかどうかが知りたいです。

日本の相続放棄は日本の遺産にのみ影響します。居住国の遺産には影響しません。

テーマの基礎知識:相続放棄と国際私法

日本の民法(民法915条)では、相続人は相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすることができます。相続放棄は、相続開始前にさかのぼって相続人であったこと自体を否定する行為です(消滅的効力)。つまり、相続放棄をした者は、相続財産を一切相続せず、相続人であったこと自体が無かったことになります。 相続放棄は、原則として、相続財産全体について行う必要があり、一部の財産だけを放棄することはできません。

ここで重要なのは、相続放棄はあくまでも日本の法律に基づく行為であるということです。 国際的な視点から見ると、この問題には国際私法(異なる国の法律が衝突する場合に、どの国の法律を適用するかを定める法律の分野)が関わってきます。

今回のケースへの直接的な回答

質問者様のケースでは、日本の不動産を相続放棄しても、居住国にある遺産への影響はありません。日本の相続放棄は、日本の法律の範囲内で効力を持ちます。居住国の遺産の相続は、居住国の法律に従って処理されます。

関係する法律や制度:国際私法と相続

この問題には、日本の国際私法と、居住国の法律が関わってきます。日本の国際私法は、相続に関する事項については、多くの場合、被相続人の最後の住所地(住所地法)の法律を適用します。 しかし、今回のケースでは、日本の不動産の相続放棄が居住国の遺産に影響することはありません。なぜなら、相続放棄は日本の法律に基づく行為であり、日本の法律の範囲内でしか効力を発揮しないからです。

誤解されがちなポイント:相続放棄の範囲

相続放棄は、日本の法律に基づいて行われるため、日本の財産にのみ影響を及ぼします。海外の財産は、それぞれの国の法律に従って相続されます。 「相続放棄」を「全ての財産を放棄する」と誤解している方がいますが、正確には「日本の法律に基づく相続において、日本の財産を放棄する」ということです。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

例えば、質問者様がアメリカに居住している場合、日本の不動産を相続放棄しても、アメリカにある預金や不動産は、アメリカ合衆国の法律に従って相続されます。質問者様のお子さんは、日本の不動産の相続を放棄し、アメリカにある遺産を相続することができます。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続の問題は複雑で、国境を越えるとなるとさらに複雑になります。居住国と日本の法律に精通した弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。特に、高額な遺産や複雑な相続関係がある場合は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

まとめ:日本の相続放棄は日本国内のみに効力

日本の相続放棄は、日本の法律に基づく行為であり、日本の財産にのみ影響を及ぼします。海外の財産は、それぞれの国の法律に従って相続されます。 相続放棄に関する手続きや、国際的な相続問題については、専門家に相談することを強くお勧めします。 国籍や居住国、相続財産の状況によって、最適な解決策は異なりますので、個別の状況に合わせて専門家のアドバイスを受けることが重要です。

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