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特許権の共有と持分譲渡:特許法74条3項の解釈と実務

【背景】
共同発明者であるA、B、Cの3名で発明がなされました。しかし、AとBのみが特許出願を行い、特許権Xを取得しました。Cは自分の発明への貢献を認めさせたいと考えています。

【悩み】
特許法74条1項に基づき、CはAとBに対して自分の持分の移転を請求できると理解しています。AとBの持分がそれぞれ50%の場合、CがAから25%の持分を譲り受ける場合、Bの同意は必要ないのでしょうか?特許法74条3項の解釈が分からず、困っています。

Bの同意は不要です。

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

まず、特許権の共有について理解しましょう。複数の発明者が共同で発明をした場合、特許権は共同発明者全員に共有されます(特許法38条)。この共有は、特許出願時だけでなく、特許権取得後も継続します。 各発明者の持分は、特段の合意がない限り、貢献度に応じて均等に分割されると考えられます。今回のケースでは、A、B、Cが均等に貢献したと仮定すると、各々の持分は33.33%となります。

特許法74条は、共同発明者の間の権利関係を定めています。74条1項は、特許出願に参加しなかった共同発明者が、参加者に対して自分の持分の移転を請求できることを規定しています。74条3項は、この移転請求に関する具体的な手続きや制限について規定しています。

今回のケースへの直接的な回答

質問のケースでは、CはAとBに対して、自分の持分(33.33%)の移転を請求できます。CがAから25%の持分譲渡を受ける場合、Bの同意は必要ありません。特許法74条3項は、他の共有者(この場合はB)の同意を得ずに、一部の共有者から持分を譲り受けることを認めています。これは、共有者の各々が自分の持分について自由に処分できる権利(所有権)を有するためです。

関係する法律や制度がある場合は明記

関係する法律は、特許法38条(共同発明)、特許法74条(共同発明者の間の権利関係)です。特許法74条3項は、共同発明者の間の持分譲渡に関する重要な規定であり、今回のケースの判断に直接的に関わってきます。

誤解されがちなポイントの整理

誤解されやすいのは、特許権全体の譲渡と、持分の譲渡の違いです。特許権全体を譲渡するには、すべての共有者の同意が必要です。しかし、個々の共有者は、自分の持分を自由に譲渡できます。今回のケースは、CがAから25%の持分を譲り受けることであり、特許権全体を譲渡するものではありません。そのため、Bの同意は不要です。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

Cは、Aと直接交渉し、25%の持分の譲渡契約を締結する必要があります。その際、譲渡価格や支払い方法などを明確に定めた契約書を作成することが重要です。また、特許庁への権利変更登記も必要になります。

専門家に相談すべき場合とその理由

特許権の譲渡は、複雑な法律問題を含む場合があります。特に、発明の貢献度が明確でない場合や、複数の共同発明者がいる場合などは、専門家(弁理士)に相談することをお勧めします。専門家は、適切な法的アドバイスを提供し、スムーズな権利移転を支援してくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

特許権の共有者は、自分の持分を他の共有者の同意を得ることなく、自由に譲渡できます。今回のケースでは、CはAから25%の持分譲渡を受ける際に、Bの同意は必要ありません。しかし、正確な法律解釈や手続きについては、専門家への相談が安心です。特許権に関する紛争は、非常に複雑になりがちです。専門家の助言を得ることで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な解決を図りましょう。

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