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特許法123条に基づく無効理由:甲と乙の共同発明における冒認出願の成立要件を徹底解説

【背景】
* 甲と乙が共同で発明イを行い、特許を受ける権利を共有しています。
* 甲が乙に無断で、甲と丁(特許を受ける権利を有していない者)と共同して発明イの特許を出願し、登録されました。
* 共同出願違反(特許法38条違反)は無効理由となることは理解していますが、冒認出願(特許法123条)にも該当するのか疑問です。
* 弁理士試験の問題では共同出願違反のみが正解とされていたため、納得がいきません。

【悩み】
甲の行為は、特許法123条の「冒認出願」に該当するのかどうか知りたいです。丁が特許を受ける権利を有していない点を踏まえると、冒認出願に該当すると思うのですが、試験の解答が共同出願違反のみだったため、判断に迷っています。

冒認出願に該当する可能性が高いです。

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

この質問は、特許法における「共同発明」と「冒認出願」に関する理解を問うものです。まず、基礎知識を確認しましょう。

* **共同発明(特許法29条)**: 複数人が協力して発明をした場合、その発明は共同発明となります。共同発明者は、それぞれ発明について特許を受ける権利を共有します。
* **共同出願(特許法38条)**: 共同発明者は、全員で特許出願を行う必要があります。一部の者が無断で出願することは、特許法38条に違反します。
* **冒認出願(特許法123条)**: 他人の発明を、あたかも自分が発明したかのように装って出願することをいいます。特許権が無効となる理由の一つです。(無効理由:特許権が成立しない、もしくは成立しても無効とされる理由)

今回のケースへの直接的な回答

今回のケースでは、甲は乙に無断で、特許を受ける権利のない丁と共同して出願しました。これは、特許法38条の共同出願規定に違反するだけでなく、特許法123条の冒認出願にも該当する可能性が高いです。なぜなら、甲は乙の発明権を無視し、丁という第三者を装って出願したため、乙の権利を侵害していると言えるからです。

関係する法律や制度がある場合は明記

特許法第38条(共同出願)、第123条(特許権の無効)が関係します。 特許法第123条第1項第1号では、「発明をした者でない者が、その発明をした者になりすまして特許出願をした場合」を無効理由としています。

誤解されがちなポイントの整理

誤解されやすいのは、「共同出願違反」と「冒認出願」の区別です。どちらも無効理由となりますが、その構成要件が異なります。共同出願違反は、共同発明者全員の同意がない出願を指します。一方、冒認出願は、発明者でない者が、あたかも自分が発明者であるかのように出願することを指します。今回のケースでは、両方の要件を満たしている可能性があります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

もし、乙が特許権の無効を主張したい場合は、裁判所に特許無効審判を請求する必要があります。その際、甲の行為が特許法38条と123条に違反することを立証する必要があります。乙は、発明への貢献度、甲による無断出願の事実、丁の発明への関与の有無などを証拠として提示する必要があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

特許法は複雑な法律です。特許権の無効審判は、専門的な知識と経験が必要な手続きです。自身で対応することに不安がある場合、または、より確実な結果を得たい場合は、特許弁護士や弁理士に相談することをお勧めします。彼らは、証拠集めから裁判戦略まで、適切なアドバイスとサポートを提供してくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

甲の行為は、特許法38条(共同出願)違反と123条(冒認出願)の両方に該当する可能性が高いです。弁理士試験の問題で共同出願違反のみが正解とされていたとしても、冒認出願の可能性を完全に否定することはできません。特許権の無効を主張したい場合は、専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。 複雑な法的問題ですので、専門家の助言を得ることが、権利保護のために最善策となります。

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