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特許法74条の移転請求権:真の権利者になった後、特許出願はどうなる?費用負担は?

【背景】
特許法74条の移転請求権について知りたいです。特許権を不正に取得された場合、この権利を使って特許権を移転できるらしいのですが、その後の手続きや費用負担について詳しく知りたいです。

【悩み】
移転請求権が認められ、特許権の移転登録がされた後、特許出願の内容を変更したり、新たな特許申請をすることは可能でしょうか?また、移転登録前後の特許料や登録費用は誰が負担するのでしょうか?具体的な実務の流れが知りたいです。

移転登録後、内容変更は原則不可。費用は損害賠償で調整。

回答と解説

テーマの基礎知識:特許法74条の移転請求権とは?

特許法74条は、不正な手段で取得された特許権を、本来の権利者(真の権利者)に返すための制度です。例えば、発明者から許可を得ずに、他人が特許を出願した場合などに適用されます。 この条文では、「特許が第123条第一項第二号または第六号に規定する要件に該当するとき」とあります。これは、例えば、特許出願に虚偽の記載があったり、他人の発明を不正に自分のものとして出願した場合などを指します(特許法第38条違反)。

74条の移転請求権が認められると、裁判所によって特許権の移転が命じられ、移転登録がされます。そして、重要なのは2項の規定です。「その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす」とあります。これは、権利の移転が過去に遡って有効になることを意味します。

今回のケースへの直接的な回答:特許出願内容の変更は可能か?

移転請求権に基づき特許権の移転登録が完了した後、特許出願の内容を変更することは、原則としてできません。なぜなら、74条2項の「初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす」という規定により、特許出願は、最初から真の権利者によるものとみなされるからです。 新たな特許申請をすることも、同じ発明内容であれば、新規性(既に知られていないこと)や進歩性(従来技術より進歩していること)が認められず、難しいでしょう。 もし、全く異なる発明であれば、新たな特許出願をすることは可能です。

関係する法律や制度:特許法、民法

特許法74条が直接的に関係します。 さらに、移転請求権の行使に伴う損害賠償請求は、民法上の不法行為に基づく請求となります。不正に特許を取得した者に対して、真の権利者は損害賠償を請求できます。

誤解されがちなポイント:移転請求権と特許出願の修正

特許出願の修正(補正)は、通常、特許出願後、審査官からの指摘に基づいて行われます。しかし、74条による移転請求後の特許出願内容の変更は、特許出願の修正とは全く異なるものです。 修正は審査中の手続きですが、移転請求後の変更は、特許権の帰属が既に確定した後の変更であり、原則として認められません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

例えば、AさんがBさんの発明を盗んで特許を取得したとします。Aさんが特許権者、Bさんが真の権利者です。Bさんが74条に基づき移転請求を行い、裁判所がそれを認めた場合、特許権はBさんに移転します。この時、特許出願書類にBさんの意図しない記述があったとしても、原則として変更はできません。しかし、Bさんは、Aさんに対して、不正行為による損害賠償を請求できます。

専門家に相談すべき場合とその理由

特許法74条の移転請求は、法律的な手続きが複雑で、専門的な知識が必要です。 特許権の取得や移転に関する紛争は、高額な費用と時間を要する場合があります。 そのため、弁護士や弁理士(特許に関する専門家)に相談することが重要です。

まとめ:移転請求後の特許出願は原則変更不可

特許法74条の移転請求権は、不正に取得された特許権を真の権利者に返すための強力な手段です。しかし、移転登録後は、特許出願内容の変更は原則としてできません。 費用負担に関しても、損害賠償請求などを通して解決していく必要があります。 複雑な手続きや法律問題をスムーズに進めるためには、専門家への相談が不可欠です。

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