現金だけでの相続？安全で賢い資産承継の方法とは？

現金保有のメリットとデメリット

相続を検討する上で、資産を現金で保有することのメリットとデメリットを理解することは非常に重要です。

まず、メリットとしては、換金性の高さがあげられます。現金はいつでも自由に使えるため、必要な時にすぐに利用できるという大きな利点があります。また、不動産のように管理の手間がかからないという点も魅力です。

しかし、デメリットも存在します。現金は盗難や紛失のリスクがあります。いくら銀行の貸金庫を利用したとしても、絶対的な安全を保障するものではありません。また、インフレ（物価の上昇）によって、時間の経過とともに現金の価値が減少する可能性も考慮しなければなりません。さらに、大きな問題として、相続税の観点があります。現金であっても、一定額を超えると相続税の課税対象となるのです。

相続税の課税対象と計算方法

相続税は、相続人が被相続人（亡くなった人）から財産を相続した際に課税される税金です。現金はもちろん、預貯金、株式、不動産など、あらゆる財産が相続税の課税対象となります。

相続税の計算は、相続財産の総額から基礎控除額（一定額までは課税されない）を差し引いた額に対して、税率が適用されます。基礎控除額は、相続人の数や相続財産の額によって異なります。相続税の税率は、相続財産の額が大きくなるほど高くなります。

つまり、現金であっても、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続税を納付する義務が生じるのです。

安全な資産の保管方法

現金の保管方法としては、銀行の貸金庫の利用が考えられますが、絶対的な安全性を求めるのは難しいです。より安全に資産を保管するためには、分散投資（複数の投資先に資金を分散させること）も検討すべきです。例えば、一部を定期預金や投資信託などに振り分けることで、リスクを軽減できます。

また、遺言書の作成も重要です。遺言書があれば、ご自身の希望通りに財産を相続人に分配することができます。特に、配偶者ではなく子供に全額相続させたいというご希望がある場合は、遺言書を作成することで、ご自身の意思を明確に伝えられます。

相続税対策

相続税を軽減するための対策としては、生前贈与（相続前に財産を贈与すること）が考えられます。生前贈与は、相続税の課税対象となる財産を減らす効果があります。ただし、贈与税（贈与された財産に対して課税される税金）には注意が必要です。

また、生命保険を活用することも有効な手段です。生命保険の受取人は、相続税の課税対象から除外されるため、相続税の負担を軽減することができます。

誤解されがちなポイント

「現金は相続税がかからない」という誤解は非常に多いです。現金も相続財産であり、相続税の課税対象となります。また、「銀行の貸金庫に預けていれば安全」という考え方も、絶対的な安全を保証するものではありません。

専門家への相談

相続に関する手続きは複雑で、専門知識が必要です。相続税の計算や節税対策、遺言書の作成など、専門家のアドバイスを受けることが重要です。税理士や弁護士などの専門家に相談することで、より安全で効率的な相続手続きを進めることができます。

まとめ

現金だけで資産を保有し、子供に全額相続させるという考え方は、相続税や資産の安全性の面から、必ずしも最適とは言えません。相続税の計算、安全な資産保管方法、相続税対策、遺言書の作成など、専門家のアドバイスを受けながら、ご自身の状況に合わせた最適な方法を検討することが重要です。 まずは、税理士や弁護士などの専門家にご相談することをおすすめします。