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生前贈与された不動産は相続財産?兄弟相続と調停の行方

【背景】
* 母親が他界後、父親が全ての遺産を相続しました。
* 父親は元気なうちに、同居していた長女に不動産を譲渡しました。
* 父親の遺言書には、父親の死亡後は預金のみを兄弟3人で相続すると記載されています。
* 長男が、生前に長女に譲渡された不動産についても相続を主張し、裁判所の調停が始まりました。

【悩み】
父親が生前に長女に譲渡した不動産は、相続の対象となるのでしょうか?遺言書に預金のみの相続と書いてあっても、不動産の相続請求は認められるのでしょうか?調停の結果はどうなるか不安です。

生前贈与された不動産は、原則として相続財産には含まれません。ただし、贈与に瑕疵(かし)があった場合などは例外があります。

生前贈与と相続の基礎知識

相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産が相続人に引き継がれることです。相続財産には、預金、不動産、株式など、亡くなった人が所有していたあらゆる財産が含まれます。一方、生前贈与とは、生きているうちに財産を他人に無償で譲渡することです(贈与契約)。贈与された財産は、贈与者の死亡時には既に贈与を受けた人の所有物となっているため、相続財産には含まれません。

今回のケースへの直接的な回答

質問者様のケースでは、父親が生前に長女に不動産を贈与しています。原則として、この不動産は相続財産には含まれません。遺言書に預金のみの相続と記載されていることも、この原則を覆すものではありません。

民法における贈与と相続

民法(日本の法律)では、贈与契約が有効に成立していれば、贈与された財産は贈与者の相続財産には含まれません。しかし、贈与契約に問題があった場合(例えば、無効な契約であった場合や、詐欺や強迫による贈与だった場合)は、相続財産に含まれる可能性があります。

誤解されがちなポイントの整理

「遺言書に預金のみと書いてあるのに、なぜ不動産の相続が問題になるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。遺言書は、あくまでも遺言者の意思表示です。しかし、遺言書に記載されていない事項であっても、法律上の規定や事実関係によっては、相続の対象となる場合があります。今回のケースでは、遺言書に不動産の相続に関する記述がないため、生前贈与の有効性や、贈与に何らかの問題がないかといった点が争点となります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

調停では、父親が長女に不動産を贈与した際の状況(贈与契約の内容、対価の有無、父親の意思能力など)が詳しく調べられます。例えば、父親が認知症の初期症状があったにもかかわらず、長女が父親に有利な条件で贈与契約を結んだと主張された場合、贈与契約が無効と判断される可能性があります。また、贈与に何らかの対価が支払われていた場合、贈与ではなく売買契約とみなされる可能性もあります。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続問題は複雑で、法律の知識がなければ適切な対応が難しい場合があります。今回のケースのように、裁判所の調停に至っている状況では、弁護士などの専門家に相談することが強く推奨されます。専門家は、証拠の収集・整理、調停における交渉、必要であれば裁判での訴訟手続きを支援してくれます。特に、高齢者の財産に関する問題では、贈与契約の有効性や、贈与者の意思能力の有無といった複雑な法的判断が必要となるため、専門家の助言は不可欠です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

生前贈与された財産は、原則として相続財産には含まれません。しかし、贈与契約に問題があった場合や、遺言書に記載されていない事項であっても、法律上の規定や事実関係によっては、相続の対象となる可能性があります。相続問題に直面した際は、専門家への相談を検討し、適切な対応を取るようにしましょう。複雑な法律問題を一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが、最善の結果を得るための近道です。

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