田舎の一軒家と山を相続？預貯金だけ相続する方法と生前贈与の検討

相続放棄と限定承認：預貯金だけ相続する方法

まず、相続の基礎知識から始めましょう。相続とは、亡くなった人の財産（預貯金、不動産、車など）が、法律に基づいて相続人に引き継がれることです。相続人は、法律で定められた順位（配偶者、子、親など）で決められます。今回のケースでは、祖母の相続人は、質問者のお母様と叔母様になります。

相続が発生した際に、相続財産に債務（借金）が含まれている場合、相続財産を相続すると、その債務も引き継ぐことになります。そのため、相続財産よりも債務の方が多額な場合、相続を放棄した方が良い場合があります。

今回のケースでは、田舎の一軒家と山は売却が難しく、固定資産税などの負担が大きいため、相続したくないという気持ちも理解できます。 相続放棄とは、相続人であることを放棄し、一切の財産と債務を相続しないことを意味します。

しかし、相続放棄は、全ての財産を放棄する必要があります。預貯金だけを相続することは、相続放棄だけではできません。そこで活用できるのが「限定承認」です。（限定承認：相続財産を承継する際に、債務超過（負債が資産を上回る状態）の場合、負債の範囲内でしか責任を負わないことを選択できる制度）

限定承認を選択することで、相続財産と債務を精査し、債務超過であれば、債務の範囲内でしか責任を負わず、預貯金などのプラスの財産のみを相続することができます。ただし、限定承認は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

今回のケースへの具体的な対応

祖母が亡くなられた後、お母様と叔母様は、まず祖母の財産を正確に把握する必要があります。預貯金、不動産の価値、そして借金などの債務を全て調査します。

その上で、限定承認の手続きを行うか、相続放棄を行うか、あるいは通常通りの相続を行うかを判断します。もし、限定承認を選択する場合は、専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。

相続放棄と限定承認に関する法律

相続放棄や限定承認は、民法（日本の基本的な法律）によって規定されています。具体的には、民法第982条以下に規定されています。これらの手続きは、家庭裁判所を通じて行われます。専門家の助けを借りることで、手続きをスムーズに進めることができます。

誤解されがちなポイント：相続放棄の期限

相続放棄には期限があります。相続開始を知った時から３ヶ月以内に行わなければなりません。相続開始とは、相続人が亡くなったことを知った時点です。この期限を過ぎると、相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。

実務的なアドバイス：専門家への相談

相続は複雑な手続きを伴います。特に、不動産が含まれる場合は、税金や登記手続きなど、専門的な知識が必要です。弁護士や税理士などの専門家に相談することで、適切な手続きを進め、トラブルを回避できます。

専門家に相談すべき場合

* 相続財産の調査が困難な場合
* 債務の額が不明な場合
* 相続放棄や限定承認の手続きに不安がある場合
* 相続税の申告が必要な場合

これらのケースでは、専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。専門家は、状況を的確に判断し、最適な解決策を提案してくれます。

まとめ：相続は専門家と相談して

田舎の不動産の相続は、固定資産税や管理の手間などの負担が大きいため、相続放棄や限定承認を検討することは合理的です。しかし、手続きは複雑で、期限も存在します。預貯金のみを相続したい場合は、限定承認が有効な手段となります。そして、相続に関する手続きは、弁護士や税理士などの専門家に相談することが、トラブルを回避し、スムーズに手続きを進める上で非常に重要です。 生前贈与も選択肢の一つですが、贈与税の問題も考慮する必要があります。 専門家と相談しながら、最適な方法を選択してください。