田舎の実家相続：5000万円の預貯金、兄弟間での円満な遺産分割と権利保全の方法

【背景】
* 母が昨年8月に亡くなり、法定相続人は兄弟3人です。
* 遺産は評価の低い不動産（山林、田、畑、居宅）と預貯金（約5000万円）です。
* 兄弟3人とも田舎暮らしはせず、不動産の一括処分を考えていますが、買い手がなく、墓守の担当者も決まっていません。
* 3回忌法要までは実家の居宅を現状維持し、維持管理費などは母名義の預貯金から支出することにしました。

【悩み】
母名義の預貯金（約5000万円）を長男名義の口座に移す際、他の相続人2人の権利をどのように保全すれば良いのか知りたいです。長男本人とその相続人予定者から、預貯金が相続財産ではない旨の確認書面の交付も検討しています。
私的流用、隠匿、散逸、名義人の死亡による相続発生、税務署への対策など、懸念事項もあります。

遺産分割協議書作成と、預貯金の管理方法を明確にすることで権利保全を図りましょう。

テーマの基礎知識：相続と遺産分割

相続とは、被相続人（亡くなった人）の財産が、法定相続人（法律で定められた相続人）に引き継がれることです。今回のケースでは、お母様の預貯金と不動産が相続財産となります。遺産分割とは、相続人複数いる場合、相続財産を相続人同士でどのように分けるのかを決める手続きです。遺産分割は、遺産分割協議書（相続人全員で遺産の分け方を決めた書面）を作成することで行われます。この協議書は、法律上の効力を持つ重要な書類です。

今回のケースへの直接的な回答：預貯金の管理と権利保全

お母様の預貯金（約5000万円）を長男名義に移す前に、必ず遺産分割協議書を作成しましょう。協議書には、預貯金の分配方法だけでなく、不動産の処分方法、墓の管理責任者、維持管理費の負担割合なども明記する必要があります。長男名義への移転は、あくまで一時的な預かりと位置づけ、将来の遺産分割協議の結果に基づいて最終的な分配を行うべきです。

関係する法律や制度：民法

このケースでは、民法（特に相続に関する規定）が大きく関わってきます。民法は、相続の発生、相続人の範囲、相続財産の範囲、遺産分割の方法などを定めています。遺産分割協議書は、民法に基づいて作成され、法的効力を持つ重要な証拠となります。

誤解されがちなポイント：長男名義への移転が相続完了ではない

預貯金を長男名義に移したとしても、それは相続が完了したという意味ではありません。あくまで一時的な管理であり、最終的な分配は遺産分割協議書に基づいて行われます。この点を誤解すると、後々トラブルに発展する可能性があります。

実務的なアドバイスと具体例：遺産分割協議書の作成と内容

遺産分割協議書には、以下の点を明確に記載しましょう。

* **相続財産の明細**: 預貯金の金額、不動産の所在地、評価額など。
* **相続人の氏名・住所・印鑑**: 全ての相続人の情報が必要です。
* **遺産分割の方法**: 預貯金の分配方法、不動産の処分方法、処分後の分配方法など。
* **墓の管理責任者**: 誰が墓の管理をするのかを明確に記載します。
* **維持管理費の負担**: 実家の維持管理費、固定資産税、墓の管理費などを誰が負担するのかを明確に記載します。
* **署名・押印**: 全ての相続人が署名・押印します。

専門家に相談すべき場合とその理由：弁護士・司法書士

相続手続きは複雑で、トラブルに発展しやすいものです。特に、高額な預貯金が絡む場合は、弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。専門家は、遺産分割協議書の作成、権利保全の方法、税金対策などについて適切なアドバイスをしてくれます。相続税の申告が必要な場合も、専門家のサポートが不可欠です。

まとめ：円満な相続に向けて

5000万円という高額な預貯金が絡む相続手続きでは、事前に綿密な計画と、専門家のサポートが不可欠です。遺産分割協議書をしっかり作成し、兄弟間で話し合い、円満な相続を目指しましょう。疑問点があれば、弁護士や司法書士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。早めの準備と対応が、将来のトラブルを防ぐことに繋がります。