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相続したマンション売却時の譲渡所得税:取得費の特定と減価償却の勘違い
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おすすめ3社をチェック【背景】
* 1977年(昭和52年)、父がマンションを購入(購入時価格1570万円、住宅ローン完済済)。しかし、契約書などが残っておらず、取得費が不明です。
* 1997年(平成9年)、父から母へ無税で贈与されました。
* 2018年(平成30年)12月、母が他界し、私が相続しました。
* 2019年(令和元年)8月、マンションを売却しました(売却額685万円、仲介手数料等29万円)。
【悩み】
譲渡所得税がかかるのかどうかがわかりません。取得費が不明なため、減価償却相当額の計算方法もわかりません。売却益が出ていない場合は確定申告は不要と理解していますが、正しいでしょうか?
不動産を売却して利益(譲渡所得)を得た場合、税金がかかります。これが譲渡所得税です。譲渡所得は、「売却額-取得費-譲渡費用-減価償却費」で計算されます。今回のケースでは、取得費の算出が最大のポイントです。取得費とは、不動産を購入した際に実際に支払った金額(取得価額)に、取得に要した費用(登録免許税など)を加えたものです。
今回のケースでは、マンションの取得費が不明なことが大きな問題です。住宅ローンの契約書がないため、当初の購入価格1570万円がそのまま取得費とは限りません。実際には、住宅ローンの支払利息なども取得費に含まれる可能性があります。
売却額685万円から諸費用29万円を引いた金額が556万円です。この金額から取得費と減価償却費を差し引いて譲渡所得を計算します。取得費が不明なため、正確な譲渡所得を計算できません。譲渡所得がプラスであれば、譲渡所得税の申告が必要となります。
関係する法律は、主に「所得税法」です。譲渡所得税は、所得税法に基づいて課税されます。取得費が不明な場合、国税庁のホームページや税務署に相談することで、適切な取得費の算定方法についてアドバイスを受けることができます。
「建物として減価償却費を計算すれば利益が出やすい」という考え方は誤解です。減価償却は、建物の耐用年数(鉄筋コンクリート造のマンションの場合、47年)に基づいて計算されます。減価償却費は経年劣化を考慮した費用であり、取得費を減らすものではありません。取得費が不明なまま減価償却費を計算しても、正確な譲渡所得は算出できません。
取得費が不明な場合、類似物件の取引価格(類似事例)を参考に取得費を推定する方法があります。不動産会社や税理士に相談し、公示価格や路線価などを活用して取得費を推定してもらうのが現実的です。また、相続税の申告書など、取得費に関する情報が記載されている書類がないか確認してみましょう。
取得費の算定が複雑で、譲渡所得税の計算に自信がない場合は、税理士に相談することを強くお勧めします。税理士は、相続税や譲渡所得税の専門家であり、適切なアドバイスと申告書の作成を支援してくれます。
* 取得費が不明なため、譲渡所得の計算が困難です。
* 類似物件の取引価格などを参考に取得費を推定する必要があります。
* 税理士に相談することで、正確な譲渡所得税の計算と申告ができます。
* 譲渡所得がプラスであれば、確定申告が必要です。
* 減価償却は取得費を減らすものではなく、建物の耐用年数に基づいて計算される経年劣化分です。
今回のケースでは、専門家である税理士に相談することが、税務上のリスクを回避する上で非常に重要です。正確な情報に基づいた判断をするために、早めの相談をおすすめします。
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