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相続した不便な土地、市に買い取ってもらう方法と価格決定の仕組み

【背景】
* 12年前に父が所有していた土地の一部が、新しくできた市道の建設のために市に売却されました。
* 市道にかからない数十坪の土地が残っており、市道との間に1メートル以上の高低差があり、アクセスできません。
* 田園地帯に位置し、土地を有効活用する価値は低いと判断しています。
* 父の死後、相続したものの、草刈りや固定資産税の負担だけが残り、土地を持て余しています。
* 地元の不動産屋に相談しましたが、民間での売却は難しいと言われました。

【悩み】
残った土地を市に買い取ってもらうことは可能でしょうか?可能であれば、買い取り価格はどのように決まるのでしょうか?不安です。

市の買い取りは可能ですが、価格交渉が必要になります。

テーマの基礎知識:土地の所有権と市による買い取り

土地の所有権とは、その土地を自由に使用・収益・処分できる権利のことです(所有権絶対の原則)。しかし、所有権は絶対的なものではなく、制限を受ける場合があります。例えば、道路などの公共用地を確保するために、国や地方公共団体(市町村など)は、私有地を収用(強制的に買い取る)する権利(**公有財産**の取得)を持っています。これは、**土地収用法**という法律で定められています。

ただし、市が土地を買い取る際には、必ずしも収用する必要はありません。所有者と交渉し、合意の上で買い取ることも可能です。今回のケースでは、収用ではなく、交渉による買い取りが考えられます。

今回のケースへの直接的な回答:市の買い取りの可能性

ご質問の土地は、市道建設によってアクセスが悪くなった、いわば「端切れ」のような状態です。そのため、民間での売却は難しいでしょう。しかし、市にとっては、将来的な道路拡張や防災対策などに備えて、この土地を所有しておくメリットがあるかもしれません。

よって、市に買い取りを打診することは可能です。ただし、市が買い取るかどうか、また、どのような価格で買い取るかは、市の判断と交渉次第です。

関係する法律や制度:土地収用法と公物管理

前述の通り、市が土地を買い取る際に関係する主な法律は**土地収用法**です。これは、公共事業のために必要な土地を強制的に収用する際のルールを定めた法律です。しかし、交渉による買い取りの場合は、この法律が直接的に適用されるわけではありません。

一方で、市が土地を管理する際には、**地方自治法**や**公物管理条例**などの規定が適用されます。これらの条例は、市が所有する土地・建物の管理方法を定めており、買い取り価格の決定にも影響を与える可能性があります。

誤解されがちなポイント:必ず買い取ってもらえるわけではない

市が必ず買い取るとは限りません。土地の利用価値、市の財政状況、他の優先順位の高い事業など、様々な要因によって判断が異なります。交渉においては、土地の状況を客観的に示し、買い取りの必要性を丁寧に説明することが重要です。

実務的なアドバイス:交渉のポイント

市への交渉は、まずは担当部署(都市計画課など)に連絡し、状況を説明することから始めましょう。土地の測量図(**地積測量図**)、固定資産税評価額などの資料を用意しておくとスムーズです。

交渉では、土地の現状(アクセス困難、利用価値の低さ)を明確に伝え、買い取り価格についても、固定資産税評価額や周辺地の取引価格などを参考に、妥当な金額を提示しましょう。必要であれば、不動産鑑定士に評価を依頼するのも有効です。

専門家に相談すべき場合とその理由:弁護士や不動産鑑定士

交渉が難航したり、市との間で価格が折り合わなかったりする場合、弁護士や不動産鑑定士に相談することをお勧めします。弁護士は法律的な観点からアドバイスを行い、不動産鑑定士は土地の価格を客観的に評価します。専門家の力を借りることで、より有利な条件で交渉を進めることができます。

まとめ:交渉による買い取りの可能性と専門家の活用

相続した土地を市に買い取ってもらうことは、可能性があります。しかし、必ず買い取ってもらえるとは限らないため、交渉は慎重に進める必要があります。土地の状況を客観的に示し、妥当な価格を提示することが重要です。必要に応じて、弁護士や不動産鑑定士などの専門家の力を借りることも検討しましょう。 交渉は時間と労力を要しますが、持て余した土地の問題解決に向けて、一歩ずつ進めていくことが大切です。

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