- Q&A
相続した共有名義土地の共有物分割禁止覚書:登記なしでも有効?5年制限と効力について徹底解説

共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック【悩み】
共有物分割を禁止する覚書を兄弟3人で作成し、署名捺印しましたが、登記はしていません。この覚書は、兄弟間で有効なのでしょうか?また、民法で定められている5年制限についてもよく理解できていません。登記をしなくても、兄弟間で効力があるのか、不安です。
土地などの不動産を複数人で所有する状態を「共有」(きょうゆう)といいます。共有状態にある不動産を、各共有者の持分に応じて分割することを「共有物分割」(きょうゆうぶつぶんかつ)といいます。 共有物分割は、共有者間の合意があればいつでも行うことができます。しかし、合意がなければ、裁判所に分割を請求する必要があります(民法304条)。
一方、「共有物分割禁止の約定」(きょうゆうぶつぶんかつきんしのおやくじょう)とは、共有者間で将来にわたって共有物分割をしないという合意のことです。これは、民法第250条で認められています。 この約定は、原則として5年間有効です(民法第250条)。5年経過後は、再度合意が必要となります。
質問者様は、共有物分割を禁止する覚書を作成し、兄弟間で署名捺印されています。登記はされていませんが、この覚書は兄弟間では有効です。なぜなら、共有物分割禁止の約定は、契約(合意)によって成立するからです。登記は、第三者に対抗するために行うものであり、共有者間での効力には直接関係ありません。
ただし、この覚書は、兄弟以外の第三者(例えば、土地を買いたいという人)には対抗できません。つまり、第三者が、共有物分割禁止の約定を知らなくても、共有者の一人が土地を売却してしまう可能性があるということです。
関係する法律は、主に民法です。特に、民法第250条(共有物分割の禁止)と民法第177条(不動産の所有権の移転登記)が重要です。民法第250条は、共有物分割禁止の約定の有効性と5年制限を定めています。民法第177条は、不動産の所有権の移転は登記によって初めて第三者に対抗できることを定めています。
共有物分割禁止の約定は、登記をしなくても共有者間では有効ですが、登記をすることで、その約定を第三者に対抗できるようになります。登記をしないと、第三者にはその約定が知られないため、共有者の一方が勝手に土地を売却してしまう可能性があることを理解しておく必要があります。
共有物分割禁止の約定をより強固なものにするためには、公正証書(こうせいしょうしょ)(公証役場が作成する、法的効力のある文書)で作成することをお勧めします。公正証書を作成しておけば、紛争発生時の証拠として有効に活用できます。また、5年経過後は、再度共有物分割禁止の約定を締結する必要があります。
共有者の間で意見が一致しない場合、または、複雑な事情がある場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、紛争を回避するお手伝いをしてくれます。特に、相続に関するトラブルは複雑になりやすいので、専門家の力を借りることは非常に有効です。
共有物分割禁止の約定は、登記がなくても共有者間では有効ですが、第三者には対抗できません。より安全性を高めるには、公正証書を作成し、5年ごとに更新することをお勧めします。 不明な点や不安な点があれば、専門家への相談も検討しましょう。 相続問題や不動産に関するトラブルは、早期の対応が重要です。
共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック