相続で取得した不動産の固定資産税滞納と差し押さえの可能性：共有不動産と相続問題の解決策

１．固定資産税の基礎知識

固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産を所有している人が、毎年1月1日時点でその所有者として課税対象者にされている場合に納税義務を負う地方税です（地方税法）。 所有権の登記状況を元に、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。そのため、質問者様のように相続によって所有権が移転した場合、相続登記が完了していなくても、1月1日時点で相続人であると認められれば、固定資産税の納税義務が生じます。

２．今回のケースへの直接的な回答

質問者様は、固定資産税の支払いが困難なため、市町村に自ら不動産持分を差し押さえしてもらうことを希望されています。これは、法律上可能です。 市町村は、滞納者に対して、滞納処分（地方税法第30条）を行います。その処分方法の一つに、不動産の差押さえがあります。差し押さえられた不動産は、競売にかけられ、その売却代金で滞納税額が充当されます。

３．関係する法律や制度

関係する法律は主に地方税法です。この法律に基づき、滞納処分として差押さえが行われます。また、相続に関する手続きは民法に規定されています。相続登記が遅れていると、相続税の申告や固定資産税の納税に支障をきたす可能性があります。

４．誤解されがちなポイントの整理

「自ら差し押さえを申し出る」という表現は、正確には「滞納処分を依頼する」となります。 市町村は、滞納を放置した場合は強制的に差し押さえを行います。自ら申し出ることで、手続きの開始時期をある程度コントロールできる可能性はありますが、必ずしも差し押さえが回避できるわけではありません。また、差し押さえは不動産の持分に対して行われますが、他の共有者の持分には影響しません。

５．実務的なアドバイスや具体例の紹介

まず、兄との関係修復を試みるか、弁護士などの専門家を通して交渉を進めることをお勧めします。相続登記を進めることが、問題解決の第一歩です。 登記が完了すれば、不動産の売却も検討できます。売却によって得られた資金で固定資産税を支払うことも可能です。 もし、兄との交渉が全く不可能な場合、裁判所に相続財産管理人を選任してもらうことも検討できます（民法948条）。

６．専門家に相談すべき場合とその理由

兄との関係修復が困難な場合、相続手続きや固定資産税の滞納問題、不動産の売却など、法律的な知識が必要となる場面が多いです。弁護士や税理士などの専門家に相談することで、適切なアドバイスを受け、問題解決のための最善策を選択できます。特に、裁判手続きが必要となる可能性がある場合は、専門家のサポートが不可欠です。

７．まとめ（今回の重要ポイントのおさらい）

* 固定資産税の滞納は、不動産の差し押さえにつながります。
* 市町村に滞納処分を依頼することは可能です。
* しかし、私物も差し押さえられる可能性があります。
* 相続登記を迅速に進めることが重要です。
* 兄との関係修復が困難な場合は、専門家への相談が不可欠です。

相続問題は複雑で、専門知識がないと解決が難しい場合があります。早急に専門家にご相談されることを強くお勧めします。