相続で迷う土地の価格：査定価格と売却手取り額、どちらを使う？

土地の相続と価格の決定：基礎知識

相続が発生した場合、相続財産（この場合は土地）の価値を正確に把握することが重要です。遺産分割協議は、相続人全員で相続財産の分け方を決める手続きです。この協議において、土地の価値をどのように評価するかが大きなポイントとなります。 土地の価格は、様々な要因によって変動します。例えば、立地条件、地積、地目（宅地、田畑など）、道路への接道状況などです。

遺産分割協議における土地の価格：査定価格と売却手取り額

不動産会社による査定は、土地の市場価値を推定するものです。**査定価格**は、その時点での土地の理論上の価格を示しています。一方、**売却手取り額**は、実際に土地を売却した場合に相続人が受け取れる金額で、査定価格から仲介手数料、登記費用などの売却諸経費を差し引いた金額です。

遺産分割協議での価格：売却手取り額が基本

遺産分割協議では、相続財産の**実質的な価値**を反映させることが重要です。そのため、一般的には**売却手取り額**が使用されます。相続人が土地を売却して現金を得られる金額が、相続人にとって最も分かりやすく、公平な基準となるからです。

法律と制度：民法と相続

民法では、遺産分割の方法について規定されています。遺産分割は、相続人全員の合意に基づいて行われます。合意が成立しない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。この調停においても、土地の評価は重要な要素となります。裁判所は、公正な価格を判断するために、不動産鑑定士による鑑定書などを参考にする場合があります。

誤解されがちなポイント：査定価格の誤用

査定価格をそのまま遺産分割の基準にするのは、誤解を招きやすい点です。査定価格には、売却にかかる諸経費が含まれていないため、相続人が実際に受け取れる金額とは異なります。この差額によって、相続人同士の意見が食い違う可能性があります。

実務的なアドバイス：具体的な例と注意点

例えば、査定価格が1000万円、売却諸経費が100万円の場合、売却手取り額は900万円となります。遺産分割協議では、この900万円を基準に協議を進めることが適切です。 ただし、土地をすぐに売却する予定がない場合でも、売却手取り額を基準にすることが一般的です。将来売却する際の費用を考慮することで、より現実的な遺産分割が可能になります。

専門家に相談すべき場合：複雑なケース

土地の相続が複雑なケース、例えば、共有者が多い場合や、土地に抵当権などが設定されている場合などは、弁護士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、円滑な遺産分割を進めることができます。

まとめ：売却手取り額を基準に公平な分割を

遺産分割協議では、土地の売却手取り額を基準にすることが一般的です。これは、相続人が実際に受け取れる金額を反映し、公平な分割を行うためです。ただし、複雑なケースや、協議が難航する場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。 相続はデリケートな問題です。冷静に、そして正確な情報に基づいて手続きを進めることが大切です。