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相続で遺言書による寄付と遺留分、生前贈与の取り戻し方:相続人の権利と注意点

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遺言書で全額寄付されても、遺留分は取り戻せるのでしょうか? 父が生前に財産を寄付した場合、相続後取り戻すことは可能ですか? また、父が寄付しようとしていることに気づいた場合、相続人としてそれを止める方法はありますか?
相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産が相続人に引き継がれることです。相続人は、法律で定められた親族が該当します。しかし、相続人が自由に財産を受け継げるわけではありません。民法では、相続人である一定の親族には、最低限相続できる財産の割合(遺留分)が保障されています。遺留分を侵害する遺言は無効部分とされ、相続人は遺留分を請求できます。
質問者様の父が遺言書で全額を老人ホームに寄付するとしても、質問者様には遺留分(相続財産の一定割合)の請求権があります。遺留分は、相続開始(被相続人の死亡)後、相続人から被相続人の財産を管理する相続執行人(もしくは相続人自身)に対して請求できます。
生前贈与については、贈与が「無償」かつ「被相続人の生活に著しく支障を及ぼすほどではない」と判断された場合は、相続開始後、取り消すことは難しいでしょう。しかし、贈与に「詐欺」「強迫」「錯誤」などの瑕疵(かし:欠陥)があった場合、相続人は贈与契約の取り消しを請求できる可能性があります。例えば、認知症などで判断能力が低下していた場合などが該当する可能性があります。
民法第900条以下(遺留分に関する規定)、民法第94条以下(贈与契約に関する規定)が関係します。
遺言書に「全額寄付」と記載されていても、遺留分は保障されます。遺留分は、相続人の最低限の権利であり、遺言で自由に奪うことはできません。また、生前贈与は、相続開始前に財産が移転しているため、遺留分とは少し異なる扱いになります。贈与の取り消しは、贈与時における被相続人の状況や、贈与の目的、内容などによって判断が大きく変わります。
例えば、父が認知症の兆候を示し、判断能力が低下した状態で老人ホームへの寄付を行った場合、その贈与契約は無効とされる可能性があります。弁護士などに相談し、証拠を揃えることが重要になります。また、父が健常な状態で寄付を行ったとしても、それが父の生活に著しく支障を及ぼすものであると判断されれば、相続人は裁判を起こして取り消しを求めることができます。
相続問題は複雑で、法律の専門知識が必要です。遺留分の計算や生前贈与の取り消し請求など、専門的な知識や経験が求められる場面では、弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。特に、証拠集めや裁判手続きは、専門家のサポートが不可欠です。
遺言書があっても遺留分は保障されます。生前贈与は、状況によっては取り消し請求できる可能性がありますが、専門家の判断が必要です。相続問題に直面した際は、早急に弁護士や司法書士に相談し、適切な対応を検討することが重要です。 ご自身の権利を守るためにも、専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
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