相続と流動性：REITと不動産、株式の比較～節税対策も視野に入れた賢い資産運用を～

【背景】
最近、不動産投資に興味を持ち始め、REIT（不動産投資信託）について調べています。相続税対策にも有効だと聞きましたが、通常の不動産とは異なる点も多いようで、よく理解できていません。特に、株式との違いが分からず悩んでいます。

【悩み】
REITは通常の不動産と違い、相続の際の優遇がなく、流動性・換金性が高く損益通算もできることを考えると、株式とほとんど違いはないと考えて良いのでしょうか？相続税対策としてREITに投資するメリットはあるのでしょうか？

REITは株式と類似点が多いですが、不動産投資特有の側面も持ち合わせています。相続税対策には、特性を理解した運用が重要です。

REIT（不動産投資信託）の基本と不動産との違い

REITとは、複数の不動産に投資する投資信託のことです（投資信託：複数の投資家から資金を集め、株式や債券などに投資する金融商品）。マンションやオフィスビルなどの不動産を保有し、家賃収入などを得て、その利益を投資家に分配します。通常の不動産投資と比較すると、小額から投資でき、流動性が高い（流動性：売買が容易で、現金化しやすい性質）のが特徴です。しかし、直接不動産を所有するわけではないため、不動産特有の税制優遇（税制優遇：税金が軽減される制度）は受けられません。

REITと株式の類似点と相違点

REITは、株式市場で売買されるため、株式と同様に流動性が高く、損益通算（損益通算：投資による利益と損失を相殺できる制度）も可能です。しかし、REITは不動産に投資する金融商品であるため、株式とは異なるリスクとリターンがあります。例えば、不動産市況の変動の影響を受けやすく、株式市場全体の動向とは必ずしも連動しません。

相続税におけるREITの扱い

REITは、株式と同様に相続税の対象となります。通常の不動産のように、相続税評価額の減額措置（相続税評価額の減額措置：相続税の計算において、不動産の評価額を減額する制度）が適用されないため、相続税の負担は大きくなる可能性があります。

REITと不動産投資の税制上の違い

不動産を直接所有する場合、固定資産税や相続税において、一定の優遇措置を受けることができます。しかし、REITはこれらの優遇措置の対象外です。 REITの分配金は、株式の配当金と同様に、雑所得として課税されます。

REIT投資におけるリスクと注意点

REIT投資は、流動性が高い反面、不動産市況の変動や、運用会社の経営状況に影響を受けやすいというリスクがあります。投資前に、十分な情報収集とリスク管理が必要です。また、REITは、投資対象となる不動産の特性によって、リスクやリターンが大きく異なるため、分散投資（分散投資：複数の投資先に資金を分散することでリスクを軽減する投資手法）も重要です。

REITを活用した相続対策

REITは相続税の優遇措置を受けられないため、相続対策としては、他の資産と組み合わせた戦略が必要になります。例えば、生前贈与（生前贈与：相続前に財産を贈与すること）と組み合わせることで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、生前贈与には、贈与税の問題も発生しますので、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

専門家への相談の必要性とまとめ

REITは、株式と不動産投資の中間的な性質を持つため、投資判断は複雑です。相続税対策を含め、個々の状況に最適な投資戦略を立てるためには、税理士やFPなどの専門家に相談することが重要です。 REITは流動性が高く、損益通算も可能ですが、相続税の優遇措置がない点、不動産市況の影響を受けやすい点などを十分に理解した上で投資を行う必要があります。専門家のアドバイスを参考に、ご自身の資産状況やリスク許容度を考慮した上で、賢い投資判断をしてください。