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相続における預貯金:現金化の容易さと債権契約の性質が遺産分割協議の対象となる理由

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しかし、なぜ現金化しやすいことが遺産分割協議の対象となる理由になるのか、また、預貯金債権契約のどのような性質が関係しているのかが理解できません。詳しく教えていただけたら嬉しいです。
まず、預貯金(預金と貯金の総称)とは、銀行や信用金庫などに預けたお金のことです。 預金は普通預金や定期預金などがあり、貯金は貯蓄預金などがあります。 これらは、預金者(お金を預けた人)と金融機関(銀行など)の間で結ばれた「債権債務関係」(債権:お金を返してもらう権利、債務:お金を返す義務)に基づいています。 預金者は金融機関に対して「お金を返してください」という債権を持ち、金融機関は預金者に対して「お金を返します」という債務を負っています。
預貯金は、基本的にいつでも現金として引き出すことができます(一部、解約に制限のあるものもあります)。この「現金化の容易さ」が、遺産分割協議の対象となる重要なポイントです。遺産分割とは、相続人が相続財産をどのように分けるかを決める手続きです。 相続財産は、現金だけでなく、不動産(土地や建物)、株式、自動車など多様なものがあります。 これらの財産を公平に分割するには、それぞれの価値を正確に評価する必要があります。 預貯金は、その評価が容易であるため、遺産分割協議の対象として適切とされているのです。
質問者様の疑問である①と②について、それぞれ回答します。
①なぜ現金と差がないと分割協議の対象にしてよいのですか?
現金と同様に容易に換価(現金に変えること)できるため、遺産分割協議において他の財産と同様に評価・分割することが容易になります。 換価に手間や時間がかからないため、相続手続きの円滑化に貢献するのです。
②預貯金債権契約のどんな性質があり、それがあるとなぜ分割協議の対象にしてよいのですか?
預貯金債権契約は、明確な債権債務関係に基づいています。 預金残高は明確に特定でき、金融機関から容易に確認できます。この「明確性」と「確認容易性」が、遺産分割協議における公平性を担保する上で重要です。 曖昧な権利や価値の評価が難しい財産と異なり、預貯金は客観的な評価が容易なのです。
民法(特に相続に関する規定)が関係します。民法では、相続財産は相続人全員の共有財産となります。 そして、その共有財産をどのように分割するかは、相続人同士で協議(遺産分割協議)して決めることになっています。 預貯金も相続財産の一部であるため、遺産分割協議の対象となるのです。
預貯金は「当然に分割される」のではなく、「遺産分割協議の対象となる」という点が重要です。 相続開始と同時に自動的に分割されるわけではありません。 相続人全員が合意して分割方法を決める必要があります。 合意ができない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
例えば、AさんとBさんの2人が相続人であり、預貯金が100万円あったとします。 遺産分割協議で、AさんとBさんがそれぞれ50万円ずつ相続することに合意すれば、金融機関に相続手続きを行い、それぞれの口座に50万円ずつ振り込まれます。 しかし、合意ができない場合は、調停や裁判が必要となる場合もあります。
相続は複雑な手続きを伴うため、相続財産に高額な預貯金が含まれる場合や、相続人が複数いる場合、相続人間で意見が対立する場合などは、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、円滑な遺産分割をサポートしてくれます。
預貯金は、現金化が容易で、債権債務関係が明確であるため、遺産分割協議の対象となります。 しかし、自動的に分割されるわけではなく、相続人同士の合意が必要です。 複雑なケースやトラブル回避のため、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。 相続手続きは、早めの準備と適切な対応が重要です。
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