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相続による抵当権変更と債務者持分の謎:不動産登記法の解説

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金銭債務であれば、相続人は債務を相続持分に応じて負担することになります。抵当権も同様に、債務者の相続によって抵当権の担保価額が変わるわけではないので、相続人の持分を登記すべきではないかと考えました。なぜ参考書では持分が記載されていないのでしょうか?その理由を詳しく知りたいです。
抵当権とは、債務者が債務を履行しない場合に、担保不動産を売却して債権を回収できる権利です(担保物権)。不動産を担保に融資を受けた場合などに設定されます。抵当権を設定する登記を「抵当権設定登記」と言い、登記簿に記録されます。この登記簿には、債権者(お金を貸した人)、債務者(お金を借りた人)、担保不動産の情報などが記載されます。
質問者様がおっしゃる通り、金銭債務の場合、相続人は相続持分に応じて債務を負担します。しかし、抵当権設定登記において、債務者の相続によって相続人の持分を記載する必要はありません。これは、抵当権が債務者個人の責任ではなく、不動産そのものに設定される権利だからです。
不動産登記法が関係します。同法は、抵当権設定登記の要件を定めていますが、債務者の相続による持分の記載については規定していません。
抵当権は、債務者の個人責任と不動産への担保設定という二つの側面を持っています。相続によって債務者の責任が相続人に移転しますが、抵当権自体は不動産に付随する権利であり、その権利自体が分割されるわけではありません。そのため、債務者の欄に相続人の全員を記載するだけで、各相続人の持分を記載する必要はないのです。
例えば、AさんがBさんから1000万円を借り、自宅に抵当権を設定した場合、Aさんが亡くなり、相続人がCさんとDさん(それぞれ相続分50%)だとします。この場合、抵当権設定登記の債務者欄にはCさんとDさんの両名が記載されますが、それぞれの持分は記載されません。債権者Bさんは、CさんとDさんに対して連帯して1000万円の債権を有することになります。CさんとDさんは、それぞれ相続分に応じて債務を負担する責任を負いますが、抵当権そのものの権利は分割されません。
相続による抵当権の処理は、複雑な手続きを伴う場合があります。特に、複数の相続人がいたり、債務に異議があったりする場合は、不動産登記の専門家(司法書士など)に相談することをお勧めします。専門家は、正確な手続きを案内し、トラブルを回避するお手伝いをしてくれます。
抵当権は不動産に設定される権利であり、債務者の相続によって権利自体が分割されるわけではありません。そのため、抵当権設定登記において、債務者の相続人の持分を記載する必要はありません。ただし、相続によって債務の負担が相続人に移転することは変わりません。複雑なケースでは、専門家への相談が重要です。
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