相続手続き中の不動産売却：複数業者への見積もりは必須？徹底解説

１．不動産売却における査定と価格決定の基礎知識

不動産の売却価格は、市場における需要と供給のバランスによって決まります。簡単に言うと、同じような物件がどれくらいの値段で売れているか、そして買い手はいくらで買いたいと思っているかによって価格が決まるのです。

不動産会社は、過去の取引事例や市場動向などを分析し、その物件の「適正価格」を査定します。この査定は、あくまでも「推定価格」であり、最終的な売買価格を保証するものではありません。

査定額は、不動産会社によって異なる場合があります。これは、各社が持つ情報や分析手法、そして営業戦略の違いによるものです。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、価格を比較検討することが非常に重要になります。

２．司法書士法人紹介の不動産会社のみでの査定の危険性

司法書士法人が紹介した不動産会社だけに査定を依頼した場合、その会社にとって有利な価格で査定される可能性があります。紹介手数料などの関係で、必ずしも客観的な査定とは限らないため注意が必要です。

３．関係する法律や制度

不動産売買に関する法律としては、宅地建物取引業法が重要です。この法律は、不動産会社が適正な取引を行うことを義務付けており、虚偽の表示や不当な勧誘などを禁止しています。

売買契約を締結する際には、宅地建物取引業法に基づいた重要事項説明書を受け取る必要があります。この説明書には、物件に関する重要な情報が記載されているので、必ず内容を確認しましょう。

４．複数業者に見積もり依頼するメリット

複数の不動産会社に査定を依頼することで、以下のメリットがあります。

• 査定額の比較：複数の査定額を比較することで、物件の適正価格をより正確に把握できます。
• 競争による価格向上：複数の会社が競争することで、より高い価格で売却できる可能性が高まります。
• 様々な販売戦略の提案：各社が異なる販売戦略を提案してくれるため、最適な方法を選択できます。
• 担当者の対応比較：担当者の対応や説明の分かりやすさなどを比較し、信頼できる会社を選ぶことができます。

５．誤解されがちなポイント

「査定額が高い会社＝良い会社」とは限りません。高い査定額を提示する代わりに、手数料が高かったり、売却活動が不十分だったりする可能性もあります。査定額だけでなく、担当者の対応や販売戦略、手数料なども総合的に判断することが重要です。

６．実務的なアドバイスと具体例

少なくとも3社以上の不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。それぞれの会社に、物件の状況や希望売却価格などを詳しく説明し、査定書を比較検討しましょう。

例えば、A社が5000万円、B社が5200万円、C社が4800万円と査定したとします。この場合、単純に一番高い価格を提示したB社を選ぶのではなく、それぞれの査定根拠や販売戦略、手数料などを比較検討し、総合的に判断する必要があります。

７．専門家に相談すべき場合とその理由

不動産売買は高額取引であり、複雑な手続きを伴います。売却価格や契約内容に不安がある場合、または相続手続きと絡んでいる場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、より有利な条件で売却を進めることができます。

８．まとめ

相続手続き中の不動産売却において、複数業者への見積もりは必須です。司法書士法人からの紹介だけで判断せず、複数の不動産会社に査定を依頼し、価格や販売戦略、担当者の対応などを比較検討することで、より良い条件で不動産を売却できる可能性が高まります。必要であれば、専門家のアドバイスも活用しましょう。