• Q&A
  • 相続放棄せずに放置…20年で時効取得?兄弟間の不動産相続と取得時効の落とし穴

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

相続放棄せずに放置…20年で時効取得?兄弟間の不動産相続と取得時効の落とし穴

【背景】
* 私の両親が亡くなり、兄と私の2人で不動産(土地と建物)を相続しました。
* 相続財産に特に興味がなく、遺産分割協議もせずに放置していました。
* 弟が両親の不動産に住み続けており、兄は何も言っていません。

【悩み】
* 20年経てば、弟は兄の相続分を時効取得できるのでしょうか?
* そもそも、遺産分割協議をせずに相続財産を放置しておくことは可能なのでしょうか?

単純承認後、20年経過しても取得時効は成立しません。遺産分割協議は必須ではありませんが、放置はリスクがあります。

テーマの基礎知識:相続と取得時効

相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産が、相続人(法律で定められた相続権を持つ人)に承継されることです。相続が発生すると、相続人は相続財産を承継するか、相続を放棄するかを選択する必要があります。相続を放棄しない場合、法律上は「単純承認」とみなされます(民法第915条)。

取得時効とは、一定期間、他人の物を占有(所有しているかのように事実上支配すること)し、所有者の異議がない場合に、占有者がその物の所有権を取得できる制度です(民法第162条)。 不動産の取得時効は、20年間の善意・平穏な占有が必要です。「善意」とは、自分が所有者ではないと知らずに占有していることで、「平穏」とは、所有者から妨害を受けずに占有していることです。

今回のケースへの直接的な回答

質問のケースでは、弟は兄の相続分を時効取得できません。なぜなら、弟は相続によって既に不動産の所有権の一部を有しているからです。取得時効は、**もともと所有権を持たない者が、他人の物を20年間占有することで所有権を取得する制度**です。弟は既に相続人として所有権の半分を有しており、兄の持分を「取得」する必要はありません。

関係する法律や制度

* **民法第915条(相続の承認・放棄):**相続人は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に相続を承認するか、放棄するかを選択する必要があります。期限を過ぎても、相続を放棄しない場合は、単純承認とみなされます。
* **民法第162条(取得時効):**20年間の善意・平穏な占有により、所有権を取得できます。
* **民法第898条(遺産分割協議):**相続人全員で協議し、相続財産の分割方法を決める必要があります。

誤解されがちなポイントの整理

よくある誤解として、「相続財産を放置しておくと、取得時効で他人のものになる」というものがあります。しかし、相続財産は相続開始と同時に相続人の共有財産となります。そのため、相続人同士の間では取得時効は成立しません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

遺産分割協議をせずに放置すると、様々な問題が発生する可能性があります。例えば、不動産の管理費用や税金の負担、相続人同士のトラブルなどです。 兄弟間で話し合いが難しくなっている場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

具体例として、弟が兄の持分を時効取得できると誤解し、勝手に建物を改築したり、土地を売却しようとした場合、兄から訴訟を起こされる可能性があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

以下のような場合は、専門家への相談が重要です。

* 相続人同士で話し合いがつかない場合
* 相続財産の価値が不明な場合
* 相続税の申告に不安がある場合
* 相続に関する法律や手続きが複雑で理解できない場合

弁護士や司法書士は、相続に関する法律や手続きに精通しており、適切なアドバイスやサポートをしてくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

* 相続が発生したら、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。
* 相続人同士の間では、取得時効は成立しません。
* 遺産分割協議は、相続財産を円滑に分割するために非常に重要です。
* 遺産分割協議に困難がある場合、専門家への相談を検討しましょう。

相続問題は、複雑でデリケートな問題です。早めの対応と専門家の活用が、トラブルを防ぎ、円満な解決に繋がります。

Editor's Picks

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

pagetop