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相続放棄後、相続財産管理人が不在で相続人が全員死亡した場合の不動産管理責任とは?
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おすすめ3社をチェック相続放棄とは、相続によって生じる権利と義務を一切放棄することを指します(民法第900条)。相続財産に債務(借金)が多い場合などに、相続を承継したくない場合に選択される手続きです。相続人全員が相続放棄した場合、相続財産は放置されることになります。そこで、民法第940条は、相続放棄した者が、次の相続人が確定するまでの間、相続財産を管理する義務を負うと定めています。この管理を担う者を「相続財産管理人」と呼びます。ただし、裁判所が相続財産管理人を選任することも可能です。
今回のケースでは、相続人全員が相続放棄し、相続財産管理人も選任されていない状況です。さらに、相続放棄した全員が死亡してしまったという点が問題となっています。
民法940条は、相続財産管理人がいない場合、相続放棄者が管理義務を負うと規定しています。しかし、この管理義務は、相続放棄者個人が生きている間のみ有効です。相続放棄者が死亡した場合、その管理義務は消滅します。これは、管理義務が個人の債務であり、死亡によって消滅するからです。
相続放棄者の子供や孫に、相続財産の管理責任が移ることはありません。管理義務は、相続放棄者個人に固有のものであり、相続人には承継されません。これは、相続放棄によって相続関係が既に断絶しているためです。
相続放棄は相続そのものを放棄することであり、相続財産の管理責任とは別物です。相続放棄者は、相続財産の所有者ではありません。あくまで、次の相続人が決まるまでの間、一時的に管理する義務を負うに過ぎません。この点が、しばしば誤解されます。
もし、相続放棄者全員が死亡し、相続財産が放置されている状態を発見した場合、まず、管轄の家庭裁判所に報告することが重要です。家庭裁判所は、相続財産の保全措置(例えば、不動産の売却など)を講じたり、新たな相続財産管理人を選任したりします。放置しておくと、財産が損失したり、権利関係が複雑化したりする可能性があります。
相続問題は複雑で、法律の専門知識が必要となるケースが多いです。今回のケースのように、相続放棄、相続財産管理人、相続財産の管理など、複数の法律問題が絡み合っている場合、弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な手続きを進め、トラブルを回避することができます。
相続人全員が相続放棄し、相続財産管理人がいない場合、相続放棄者が一時的に管理義務を負いますが、相続放棄者が死亡するとその義務は消滅します。相続放棄者の子供や孫に管理責任は移りません。放置された相続財産については、家庭裁判所に報告し、適切な対応を取る必要があります。複雑な相続問題では、専門家への相談が不可欠です。
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