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相続放棄後の不動産と固定資産税:相続人が誰もいない場合との違いと手続き

【背景】
父が亡くなり、相続財産として土地と建物(不動産)が残されました。相続人は私を含め3人兄弟です。しかし、相続財産に負債(借金)が多く、相続放棄を検討しています。兄弟全員が相続放棄した場合、相続人がいない場合と同様の手続きになるのか疑問に思っています。

【悩み】
相続放棄した場合、不動産の固定資産税はどうなるのか心配です。相続人がいない場合と同様の手続きで、国庫帰属になるのでしょうか?その場合、当面の固定資産税の支払いは誰が負担するのか、手続きはどうすれば良いのかを知りたいです。

相続放棄後も固定資産税は発生します。国庫帰属までは所有者不明状態となり、納税義務者は一時的に「不明」となります。

相続放棄と国庫帰属の違い

相続放棄とは、相続人が相続財産を受け継ぐことを放棄することです(民法第900条)。相続財産に負債が多い場合などに利用されます。相続放棄の手続きは、家庭裁判所に対して行います。相続人が全員相続放棄した場合、相続財産は原則として国庫に帰属します。しかし、相続放棄と国庫帰属は別の手続きです。相続放棄は相続人が行う手続きであり、国庫帰属は相続財産が国に帰属する状態です。

相続放棄後の固定資産税の扱い

相続人が全員相続放棄した場合、不動産の所有権は一時的に「所有者不明」の状態になります。この状態でも、固定資産税は発生し続けます。納税義務者が明確でないため、税務署は当面、固定資産税を徴収できません。そのため、固定資産税は滞納状態となります。しかし、放置すると延滞金が発生し、最終的には不動産の競売につながる可能性があります。

関係する法律:地方税法

固定資産税の徴収は、地方税法に基づいて行われます。地方税法では、固定資産税の納税義務者は「固定資産の所有者」と定められています。相続放棄後、所有者不明の状態では、納税義務者が不在となります。しかし、税金そのものは消滅しません。

誤解されがちなポイント:相続放棄=税金も消滅

相続放棄をすれば、全ての税金が消滅する、と誤解している方が多いです。しかし、相続放棄は相続財産を受け継がないという意思表示であって、税金の発生自体をなくすものではありません。相続放棄後も、相続開始時点(被相続人が亡くなった時点)までの税金は、相続財産から支払われます。相続開始後の税金については、所有者不明状態が解消されるまで、滞納状態となります。

実務的なアドバイス:国庫帰属の手続きを進める

相続放棄後、固定資産税の滞納を防ぐためには、速やかに国庫帰属の手続きを進めることが重要です。国庫帰属の手続きは、相続放棄が確定した後、所轄の法務局に対して行います。国庫帰属が完了すれば、国が所有者となり、固定資産税の納税義務者となります。手続きには一定の期間を要するため、早めの対応が必要です。

専門家に相談すべき場合:複雑な相続の場合

相続財産に多額の負債があったり、複数の不動産が含まれていたり、相続人が多数いるなど、相続が複雑な場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、相続放棄の手続きや国庫帰属の手続き、固定資産税の処理などについて適切なアドバイスをしてくれます。

まとめ:相続放棄後の迅速な手続きが重要

相続放棄後、不動産の固定資産税は、国庫帰属が完了するまで滞納状態となります。滞納を防ぎ、不利益を避けるためには、相続放棄後速やかに国庫帰属の手続きを進めることが重要です。複雑なケースでは、専門家のサポートを受けることを検討しましょう。相続手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを受けることで、スムーズな手続きを進めることができます。

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