• Q&A
  • 相続放棄後の遺留分減殺請求と土地建物の売却:AさんとBさんのケース

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

相続放棄後の遺留分減殺請求と土地建物の売却:AさんとBさんのケース

【背景】
父が亡くなり、遺言により土地建物が弟(Bさん)に相続されました。私(Aさん)を含む他の相続人は相続放棄をしています。私は父と生前から同居し、今もその土地建物に住んでいます。遺言では土地建物は全て弟に相続されると書かれており、弟は既に登記を終えています。

【悩み】
遺留分減殺請求(家裁調停)で不成立となり、弟は遺留分の金銭での解決を提案しましたが、私は金銭での明渡しに応じる代わりに、遺留分に加え、立退き料と引っ越し料を請求しています。弟は、遺留分減殺額に立退き料と引っ越し料を加算して支払う必要があるのか、既に登記済みの土地建物を売却して費用に充当できるのか、また、登記済みの土地建物を第三者に移転・売買できるのかを知りたいです。

遺留分減殺請求額+立退き料+引っ越し料の支払いは必要です。売却は承諾が必要。

相続と遺留分の基礎知識

相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産が、相続人(法律で定められた相続権を持つ人)に引き継がれることです。遺言書があれば、その内容に従って相続が行われますが、遺言がない場合や、遺言の内容が法律に反する場合には、法定相続分(法律で決められた相続割合)に従って相続が行われます。

遺留分とは、相続人が最低限保障される相続財産の割合です。たとえ遺言で相続財産を全くもらえなくても、遺留分だけは必ずもらう権利があります。遺言で遺留分を侵害された場合、遺留分減殺請求(遺留分を侵害された分を取り戻すための請求)を行うことができます。今回のケースでは、Aさんは遺留分減殺請求を行っています。

今回のケースへの直接的な回答

Aさんは、遺留分減殺請求により、Bさんから遺留分に相当する財産を受け取る権利があります。 Bさんが既に土地建物の所有権を登記しているとしても、Aさんの遺留分を侵害している状態です。そのため、Aさんは、遺留分相当額の金銭を請求できます。

さらに、AさんはBさんの土地建物に住み続けているため、Aさんの立ち退きには、相当の立退き料と引っ越し費用をBさんが負担する必要があると考えられます。これは、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求という形で請求できる可能性があります。(具体的な金額は、裁判所が判断することになります)

関係する法律や制度

* **民法(相続、遺留分、不法行為)**:相続に関する基本的なルール、遺留分の割合、不法行為による損害賠償などを定めています。
* **不動産登記法**:不動産の所有権の移転登記に関する法律です。

誤解されがちなポイントの整理

* **遺留分は必ず金銭で支払われるとは限らない**: 遺留分は、土地建物の一部を移転登記してもらうことで満たすことも可能です。しかし、今回のケースでは、既にBさんが土地建物の全てを所有しているため、金銭での支払いが現実的です。
* **立退き料と引っ越し料は必ず認められるとは限らない**: 裁判所は、Aさんの状況(居住期間、生活状況など)やBさんの事情を考慮して、立退き料と引っ越し料の妥当性を判断します。
* **Bさんが土地建物を売却して費用に充当できるか**: Bさんは、Aさんの承諾を得ずに土地建物を売却して遺留分や立退き料などに充当することはできません。Aさんの承諾を得るか、裁判所の許可を得る必要があります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

AさんとBさんは、話し合いで解決することが理想的です。しかし、話し合いが難航する場合は、弁護士に相談し、法的な手続きを進めることをお勧めします。弁護士は、Aさんの権利を主張し、Bさんとの交渉や裁判手続きをサポートします。

具体例として、Aさんが弁護士に相談し、Bさんと交渉した結果、遺留分相当額に加え、立退き料と引っ越し料として一定額の支払いをBさんが承諾し、Aさんが土地建物から立ち退くという合意に至るケースが考えられます。

専門家に相談すべき場合とその理由

話し合いが難航する場合、または、遺留分減殺請求や立退き料の額などについて判断に迷う場合は、弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、手続きをスムーズに進めることができます。特に、不動産に関する法律は複雑なため、専門家の助けを借りることで、より有利な解決を目指せます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

* BさんはAさんの遺留分を支払う義務があります。
* Aさんの立退きには、立退き料と引っ越し費用が必要となる可能性が高いです。
* BさんはAさんの承諾なしに土地建物を売却できません。
* 法律的な知識が不足している場合、弁護士や司法書士に相談することが重要です。

今回のケースは、相続と不動産に関する複雑な問題が絡み合っています。当事者間での話し合いが難航する場合は、専門家の力を借りて、適切な解決策を見つけることが重要です。

Editor's Picks

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

pagetop