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相続時における宅地の評価:兄所有の建物が建つ父名義土地の適正価格算定

【背景】
父が亡くなり、兄と私で遺産分割協議をすることになりました。遺産は、兄が所有する家が建っている父名義の宅地のみです。宅地の価格を法律に準じて決めたいと思っています。

【悩み】
兄の家の建つ宅地の価格をどのように算定すれば良いのか分かりません。「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」という本に、建付地に関する記述があり、さらに混乱しています。建付地とは何か、建付減価や使用貸借減価をどのように考慮すれば良いのか、兄の家の建築経緯を踏まえた上で、宅地の適正価格を算定する方法を知りたいです。

更地価格から建付減価、使用貸借減価を控除した価格を参考に、協議を進めるべきです。

相続時における宅地の評価:基礎知識

遺産分割において、不動産の評価は非常に重要です。相続財産を公平に分割するためには、正確な評価が不可欠です。特に、今回のケースのように、建物と土地の所有者が異なる場合、評価方法が複雑になります。

まず、重要な用語を理解しましょう。「建付地」とは、建物と土地の所有者が同一である土地のことです(質問Q1)。 建物が建っている土地であっても、所有者が異なる場合は「建付地」ではありません。

次に、「建付減価」と「使用貸借減価」についてです。建付減価とは、建物が土地の価格に与える影響を考慮した減価償却です。建物があることで、土地の利用に制限が生じ、その分、土地の価値が下がるという考え方です。一般的に、堅固な建物であれば約2割、そうでない建物であれば約1割の減価が認められます。

使用貸借減価は、土地を使用貸借(※土地の所有者から、無償または有償で土地を使用する権利を許諾すること)している場合に適用される減価です。土地の利用に制限があるため、土地の価値が下がるという考え方です。これも、一般的に約2割程度の減価が認められます。

今回のケースへの直接的な回答

質問者のケースでは、兄が5年前に父所有の家を解体し、その後、兄名義の建物を建てています(質問Q2)。そのため、現在、その土地は「建付地」ではありません。

したがって、宅地の評価は、まず更地価格を算定することから始めます。更地価格とは、建物が全くない状態の土地の価格です。不動産会社などに査定を依頼するのが一般的です。

その更地価格から、使用貸借減価(約2割)を控除します。これは、兄が父から土地を使用貸借している状態であるためです。

つまり、計算式は「更地価格 × 0.8」となります(質問Q3、Q4)。質問文にある「建付減価」は、このケースでは適用されません。

関係する法律や制度

遺産分割協議は、民法(※日本の私法の基本法)を基礎として行われます。具体的な評価方法については、裁判所の判例や、不動産鑑定士の評価などが参考になります。

誤解されがちなポイントの整理

建付地と建付減価、使用貸借減価の関係を正しく理解することが重要です。建付地でない場合でも、使用貸借減価は適用される可能性があります。また、減価の割合は、あくまで目安であり、実際の評価では、土地の状況や市場価格などを総合的に考慮する必要があります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

まず、信頼できる不動産鑑定士に依頼して、更地価格を正確に査定してもらうことをお勧めします。鑑定書は、遺産分割協議において非常に有効な証拠となります。

次に、兄との間で、冷静かつ丁寧に協議を進めることが重要です。それぞれの主張を理解し合い、合意形成を目指しましょう。もし、協議が難航する場合は、弁護士や司法書士に相談することを検討しましょう。

専門家に相談すべき場合とその理由

遺産分割協議が難航する場合、または、不動産の評価に専門的な知識が必要な場合は、弁護士や司法書士、不動産鑑定士に相談することをお勧めします。専門家は、法律的な知識や専門的な評価に基づいて、適切なアドバイスをしてくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

今回のケースでは、土地は建付地ではなく、更地価格から使用貸借減価を控除した価格が、宅地の評価額の目安となります。正確な評価のためには、不動産鑑定士への依頼が重要です。また、協議が難航する場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。公平で円満な遺産分割協議を目指しましょう。

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