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相続未分割土地の無断使用と対処法:遺言なき相続と私的賃貸借問題

【背景】
* 私の実家は、相続が未分割の状態で、相続税の申告は済んでいます。
* 近いうちに相続財産分割のための調停が始まる予定です。私は相手方当事者となります。
* 先日実家を訪れたところ、遺言書がなく、相続人の誰のものとも確定していない雑種地(*雑種地:宅地・田畑など特定の用途に分類されない土地)に、相続人の一人が夜間だけ近隣の飲食店の駐車場として貸し出していることを発見しました。
* 駐車スペースの線引きや看板も設置されていました。
* 当該相続人(母か長男と推測)は、この件について何も説明してくれません。
* 他の相続人3名は、この事実を全く知らされていませんでした。

【悩み】
まだ誰のものとも確定していない土地を、勝手に使用して収入を得て良いのでしょうか? このまま放置して良いのか、使用を止めさせることはできるのか、その方法を知りたいです。 直接言っても聞いてくれないため、調停で何か文章を提出することを考えています。 土地の使用を止めさせるための法律用語があれば教えてください。

未分割土地の無断使用は違法です。調停で主張を明確に。

回答と解説

テーマの基礎知識:相続と未分割状態の土地

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の財産は、法定相続人(法律で相続権を持つ人)に相続されます。しかし、相続手続きが完了するまでは、相続財産は「共有状態」(複数の相続人が共同で所有する状態)にあります。質問者さんのケースでは、相続税の申告は済んでいますが、土地の所有権がどの相続人に帰属するかはまだ確定していない、つまり「未分割」の状態です。

今回のケースへの直接的な回答

相続人が共有する土地を、一方の相続人が勝手に使用し、しかも利益を得ていることは、他の相続人の権利を侵害する行為です。これは民法上の「共有物管理に関する規定」に違反する可能性があります。 具体的には、共有物の使用・収益については、他の共有者の同意を得る必要があります。同意なく使用し、利益を得た場合は、他の共有者に対してその利益を分与する義務が生じます。

関係する法律や制度

* **民法第252条(共有物の管理)**: 共有物の管理は、各共有者の協議によって行われます。協議ができない場合、裁判所に管理の方法を決定してもらうことができます。
* **民法第257条(共有物の使用収益)**: 共有者は、共有物の使用収益を自由にできるわけではありません。他の共有者の利益を害するような使用収益はできません。

誤解されがちなポイントの整理

「相続税の申告が終わったから、自由に使える」という誤解は危険です。相続税の申告は、相続財産の評価と税金の納付に関する手続きです。土地の所有権の帰属や使用権の決定とは別問題です。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

調停において、以下の点を主張することが重要です。

* **無断使用の事実**: いつから、誰が、どのような形で土地を使用しているのかを具体的に記述します。写真や証言があれば、証拠として提出しましょう。
* **損害の発生**: 他の相続人が土地を使用できないことによる損害(例えば、将来的な土地売却益の減少など)を主張します。
* **利益の分与請求**: 土地の賃貸借によって得られた利益を、他の相続人と共有すべきであると主張します。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続問題は複雑で、法律の知識が不可欠です。調停において有利に進めるためには、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、適切な法的措置をアドバイスし、必要に応じて書類作成や交渉を代行してくれます。特に、証拠集めや法的根拠の明確化は専門家の知見が不可欠です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

未分割の相続財産を一方的に使用し、利益を得ることは、他の相続人の権利を侵害する行為です。調停では、無断使用の事実、損害、利益分与請求を明確に主張し、必要に応じて弁護士などの専門家の力を借りましょう。 早めの行動が、あなたの権利を守る上で重要です。

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