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相続登記における真名回復と所有権の更正:無効な遺産分割協議と遺留分減殺請求のケース

【背景】
* Aさんが亡くなり、B、C、D、E、Fさんが共同相続人となりました。
* 遺産分割協議の結果、Aさんの遺産の一部がBさんに相続登記されました。
* その後、Bさんが亡くなり、Bさんの相続分はCさんとDさんに相続登記されました。
* しかし、後にAさんからのBさんへの相続に関する遺産分割協議が無効であることが判明しました。
* EさんとFさんは、Bさんの相続分の指定に対して遺留分減殺請求を行いました。

【悩み】
CさんとDさんからEさんとFさんへの、真名回復を原因とする持分の一部移転の登記は可能ですが、所有権の更正はできないと聞いています。その理由が知りたいです。

真名回復は可能だが、所有権更正は不可。理由は後述。

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

この問題は、相続登記(相続によって所有権が移転することを登記する手続き)、遺産分割協議(相続人が話し合って遺産をどのように分けるかを決める協議)、遺留分(法律で定められた、相続人が最低限受け取る権利のある相続分)、真名回復(本来の権利状態に戻すこと)、所有権の更正(登記上の所有権者を、実際の所有権者と一致させる手続き)といった概念が関わっています。

まず、遺産分割協議が無効であった場合、その協議に基づいて行われた登記も無効となります。 これは、無効な法律行為に基づいて行われた登記は、登記の効力自体が無効となるためです。 そのため、Bさんへの相続登記、そしてCさんDさんへの相続登記も、無効な遺産分割協議に基づいているため、無効となります。

今回のケースへの直接的な回答

EさんとFさんは、遺留分減殺請求によって、本来自分たちが相続すべきであった遺産の一部を取り戻すことができます。 この請求が認められれば、CさんとDさんは、その分をEさんとFさんに返還しなければなりません。 この返還を登記する際に、「真名回復」を原因とする「持分の一部移転」の登記が行われます。 しかし、「所有権の更正」はできません。

関係する法律や制度がある場合は明記

民法が関係します。特に、民法第900条以下の相続に関する規定、および遺留分に関する規定が重要です。 判例(平3・11・8民三5667)も、この問題の理解に役立ちます。

誤解されがちなポイントの整理

「真名回復」と「所有権の更正」は、どちらも登記上の状態を修正する手続きですが、その対象が異なります。「真名回復」は、無効な登記によって失われた権利を回復する手続きです。一方、「所有権の更正」は、登記上の所有権者と実際の所有権者が異なる場合に、登記を実際の所有権者と一致させる手続きです。このケースでは、無効な登記によって、EFの権利が侵害されているので、真名回復が適用されます。しかし、登記自体が完全に無効であるため、所有権の更正という手続きは必要ありません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

CDがEFに土地の一部を返還する際、その登記手続きは「持分の一部移転」となります。これは、CDが所有する土地の持分の一部をEFに移転する登記です。この登記には、「真名回復」という原因が記載されます。 一方、所有権の更正は、登記簿に記載されている所有権者が誤っている場合に行われる手続きです。今回のケースでは、登記簿自体がそもそも無効な遺産分割協議に基づいて作成されているため、更正の対象となりません。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続問題は複雑で、法律の知識が不可欠です。 遺産分割協議が無効であることの確認、遺留分減殺請求の手続き、登記手続きなど、専門家の助言なしに解決するのは困難です。 特に、複数の相続人が関わるケースでは、紛争に発展する可能性もあります。 弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

無効な遺産分割協議に基づく登記は、その効力を失います。 そのため、EFは遺留分減殺請求によって権利を回復できます。 この場合、CDからEFへの登記は「持分の一部移転(真名回復)」となり、「所有権の更正」ではありません。 相続問題には専門家の介入が不可欠です。

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