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相続登記前の委任状で贈与登記は可能?丙の持分移転登記における委任状の有効性
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両親が亡くなる前に、私に不動産に関する委任状を作成していました。この委任状を使って、私の持分を叔父に贈与する登記申請を行うことは可能でしょうか?委任状の作成日は、相続登記申請日より前ですが、両親の死亡日より後です。登記申請に問題はないか心配です。
この質問は、不動産の相続登記と委任状(代理人に権利行為を委任する書面)の効力に関するものです。不動産の所有権は、登記簿(不動産の所有者や権利関係を記録した公的な帳簿)に登記された者に帰属します。相続が発生した場合、相続人は相続登記(相続によって所有権が移転したことを登記すること)を行うことで、法的に所有権を確定させることができます。
委任状は、ある人が代理人(他人の代わりに法律行為を行う人)に自分の代わりに法律行為(契約や登記など、法律上の効果を生む行為)を行うことを委任する書面です。委任状には、委任する行為の内容、代理人の氏名、委任期間などが記載されます。
質問者(丙)のケースでは、両親が亡くなる前に作成された委任状が、相続登記申請日よりも前であるものの、両親の死亡日よりも後であるため、原則として有効である可能性が高いです。なぜなら、委任状は、委任者(代理権を与える人)である丙が、自身の権利を処分する意思表示を委任したものであり、相続登記後もその効力は継続するからです。
民法(私人間の権利義務を定めた法律)の委任に関する規定が関係します。委任契約は、委任者と受任者(代理権を受ける人)の合意によって成立します。委任状は、その合意の証拠となります。委任契約は、委任者が死亡しても、その効力が直ちに消滅するわけではありません。委任の目的が達成されるまで、または委任契約が解除されるまで効力を持ちます。
委任状の作成日が相続登記申請日よりも前であることが、委任状の効力を否定するものではありません。重要なのは、委任状の作成時において、委任者(丙)に贈与する権利があったかどうかです。相続登記が完了していなくても、相続開始(相続人が相続権を取得する時点)時点で相続人は相続財産を自由に処分できる権利(所有権)を持っています。
登記所では、委任状の内容、作成日、委任者の身分などを確認します。委任状に不備がある場合、追加書類の提出を求められる可能性があります。そのため、委任状は、明確で正確に作成することが重要です。万が一、登記官から疑問点を指摘された場合、相続関係を証明する戸籍謄本などを準備しておくとスムーズです。
委任状の内容に不明瞭な点があったり、相続関係が複雑な場合、不動産登記の専門家である司法書士(不動産登記などの法律手続きを代理で行う専門家)に相談することをお勧めします。司法書士は、登記申請に必要な書類の作成や手続きを代行し、問題発生時の対応もサポートしてくれます。
相続登記前の委任状でも、委任者が権利を有していることを確認できれば、有効な可能性が高いです。しかし、登記申請に際しては、委任状の内容や作成時期、相続関係などを明確に示す必要があります。不明な点があれば、専門家に相談することをお勧めします。スムーズな手続きのため、事前に必要な書類を準備し、登記所に確認をとることも重要です。
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