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相続登記申請:共有者のいない単独相続登記は可能?遺産分割協議と保存行為の解説

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遺産分割協議で、私と兄のみが土地を相続することになりました。この場合、私か兄のどちらか一方だけで、相続登記の申請をすることは可能でしょうか?「他の共有者のためにする単独申請(保存行為)」という制度が使えると聞いたのですが、よく分かりません。
不動産の所有権を公的に証明するのが「相続登記」です。 相続が発生すると、被相続人(亡くなった人)の不動産の所有権は、法定相続人(相続権を持つ人)に自動的に移転します(実体法上の相続)。しかし、所有権の移転を登記簿(不動産の所有者などを記録した公的な帳簿)に反映させるには、相続登記の手続きが必要です。
相続人が複数いる場合、その不動産は「共有不動産」(複数の人が所有権を共有する不動産)となります。 今回のケースでは、A、B、Cが3分の1ずつ共有する状態です。 共有状態では、不動産の売却や抵当権の設定など、重要な処分を行うには、全ての共有者の同意が必要です。
遺産分割協議によって、AとBのみが相続人となった場合、Cの持分はAとBに承継されます。 この後、AとBは、共有持分を改めて分割するか、そのままAとBの共有とするかを選択できます。 どちらの場合でも、**「他の共有者のためにする単独申請(保存行為)」**を利用して、AまたはBの一方のみで相続登記申請が可能です。 これは、共有関係を解消し、明確な所有権者を登記簿に反映させるための手続きです。
この手続きは、不動産登記法に基づいています。 具体的には、同法第22条の保存行為に該当します。保存行為とは、共有不動産について、共有者の1人が他の共有者のために登記申請を行うことを認める制度です。 今回のケースでは、AがBのために、またはBがAのために、相続登記申請を行うことが許されます。
「単独申請」という言葉から、一方の意思だけで登記できる、と誤解される可能性があります。 しかし、遺産分割協議が前提となります。 遺産分割協議書(相続人全員の合意を示す書面)は、登記申請に必要な重要な書類です。 協議書がないと、単独申請は認められません。
AとBが遺産分割協議を行い、Aが相続登記を申請する場合、Aは登記所に以下の書類を提出します。
* 遺産分割協議書
* 被相続人の除籍謄本(戸籍の除籍事項証明書)
* 相続人の戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)
* 固定資産税評価証明書
* 委任状(BからAへの委任状)
Bが申請する場合も同様です。 委任状は、申請者以外が申請を行う場合に必要です。 これらの書類は、登記所によって多少異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。
遺産分割協議が複雑な場合、または相続財産に高額な不動産が含まれる場合などは、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、手続きの進め方や必要な書類、税金の問題などについて適切なアドバイスをしてくれます。 特に、相続税の申告や納付など、税金に関する知識は専門家の方が詳しいです。
遺産分割協議が成立していれば、共有者のいない単独相続登記は、「他の共有者のためにする単独申請(保存行為)」によって可能です。 しかし、手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを受けることが、スムーズな登記申請に繋がります。 相続登記は、不動産の所有権を明確にする上で非常に重要な手続きです。 不明な点があれば、早めに専門家にご相談ください。
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