相続税対策！物納制度を賢く活用する方法～積極的に活用できるケースとは？～

物納制度とは？～相続税の納税方法の1つ～

物納（ぶつなう）制度とは、相続税（または贈与税）を現金で支払う代わりに、不動産や株式などの財産を国庫に納める制度です。現金が不足している場合に利用されることが多いですが、実は積極的に活用することで税負担を軽減できるケースもあります。

物納制度のメリットとデメリット

物納制度にはメリットとデメリットがあります。

まずメリットは、現金が不足している場合でも相続税を納付できる点です。また、評価額が時価より低くなる可能性があり、結果的に税負担が軽減されるケースもあります。

一方、デメリットとしては、納付する財産の選定や手続きに時間がかかり、専門家のサポートが必要になる点です。また、納付した財産は国庫のものとなり、所有権を失う点も注意が必要です。

物納を積極的に活用できるケース

物納を積極的に活用して得をするケースは、大きく分けて以下の３つのパターンがあります。

• 現金よりも不動産の価値が高い場合：相続財産の大部分が不動産で構成され、その不動産の評価額が、相続税の税額よりも高い場合、物納によって税負担を軽減できます。現金で納税しようとすると、不動産を売却する必要があり、売却にかかる費用や売却価格の変動リスクを負うことになります。
• 不動産の評価額が低い場合：不動産の評価額が、市場価格よりも低いと判断される場合、物納によって税負担を軽減できる可能性があります。これは、相続税の評価方法に特有の事情によるものです。（路線価や固定資産税評価額との比較など）
• 相続財産に争いがある場合：相続人が複数おり、相続財産の分割で争いが発生している場合、物納によってスムーズに相続税の納付と財産の分割を進めることができます。具体的には、特定の相続人が相続した不動産を物納することで、他の相続人との争いを回避できる可能性があります。

物納適格財産とは？～国が受け入れる財産～

物納できる財産は、国が受け入れることができる「物納適格財産」に限られます。具体的には、不動産（土地・建物）、株式、債権などが該当します。ただし、全ての不動産や株式が物納できるわけではなく、国が指定する条件を満たす必要があります。例えば、不動産の場合、担保権などの権利が設定されていないこと、建物の老朽化が進んでいないことなどが条件となります。

物納手続きの流れと注意点

物納の手続きは、税務署への申告から始まり、財産の評価、納付まで、複雑なステップを踏みます。専門家のサポートを受けることが非常に重要です。特に、財産の評価方法や手続きに関する法律、税法の知識は高度な専門知識が必要となるため、税理士や司法書士などの専門家に相談することが不可欠です。

誤解されがちなポイント

物納は、相続税を納付できない場合の「やむを得ない手段」というイメージが強いですが、必ずしもそうではありません。むしろ、適切な計画と準備によって、積極的に活用できる制度です。

専門家に相談すべき場合

物納を検討する際は、税理士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、相続財産の状況、相続税の税額、物納可能な財産などを分析し、最適なプランを提案してくれます。特に、複雑な相続や高額な相続税が予想される場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。

まとめ

物納制度は、相続税の納付方法の一つであり、現金が不足している場合だけでなく、積極的に活用することで税負担を軽減できる可能性があります。しかし、手続きが複雑で専門的な知識が必要なため、税理士などの専門家に相談することが重要です。相続税対策の一環として、物納制度について理解を深め、専門家のアドバイスを踏まえて適切な判断をすることが大切です。