相続税評価額と時価の関係性：土地と家屋の相続税計算の真実

相続税評価額とは何か？

相続税とは、亡くなった方の財産を相続する際に、国に支払う税金です。その計算には、相続財産の価値を正確に把握する必要があります。しかし、不動産（土地や家屋）のように、市場で毎日取引されているわけではない財産の時価を正確に算出するのは難しいです。そこで登場するのが「相続税評価額」です。

相続税評価額とは、国税庁が定めた方法に基づいて算出される、不動産などの相続財産の評価額です。簡単に言うと、相続税を計算するための「標準的な価格」です。時価（市場で実際に取引される価格）とは異なるため注意が必要です。

相続税評価額の算出方法

相続税評価額の算出方法は、土地と家屋で異なります。

土地の場合は、国土交通省が公表する「路線価」や「倍率」を用いて計算されます。路線価とは、道路に接する土地の1㎡あたりの価格で、地域や立地によって大きく異なります。倍率は、路線価に掛け合わせて、実際の土地の評価額を算出するための係数です。

家屋の場合は、家屋の構造、築年数、面積などを考慮した「固定資産税評価額」を基に、さらに修正を加えて算出されます。固定資産税評価額は、毎年市町村が算定しているものです。

相続税評価額と時価の関係性

質問にある「時価の1/5～1/6程度」という記述は、必ずしも正確ではありません。相続税評価額は、一般的に時価よりも低く評価されますが、その割合は土地や家屋の所在地、築年数、構造などによって大きく変動します。

実際には、時価の約1/3～1/2程度になることが多いと言われています。しかし、場合によっては、時価と相続税評価額の差が大きくなることもあります。そのため、単純に「時価の1/5～1/6」と考えるのは危険です。

相続税計算における注意点

相続税の計算は、複雑で専門的な知識が必要です。相続税評価額の算出方法だけでなく、控除制度（相続税の税額を減らすための制度）や、相続税の申告期限なども理解する必要があります。

相続税申告の期限

相続税の申告は、相続開始（被相続人が亡くなった日）から10ヶ月以内に行う必要があります。期限内に申告しないと、延滞税が課せられる可能性があります。

専門家への相談

相続税の計算は複雑なため、自身で計算するのは困難な場合があります。特に高額な財産を相続する場合は、税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、相続財産の評価額を正確に算出し、節税対策などを含めた最適な相続プランを提案してくれます。

誤解されがちなポイント

相続税評価額は、必ずしも「安い」とは限りません。土地の立地条件が良い場合や、築年数の浅い立派な家屋の場合は、相続税評価額も高くなる可能性があります。また、相続税評価額は固定資産税評価額とは異なります。混同しないように注意が必要です。（固定資産税評価額は、固定資産税の計算に用いられる評価額です）

実務的なアドバイス

相続税の申告準備は、相続開始後すぐに着手することが重要です。相続財産の調査、相続税評価額の算出、申告書類の作成など、多くの作業が必要です。早めの準備で、余裕を持って申告手続きを進めることができます。

まとめ

相続税の計算において、土地と家屋は時価ではなく相続税評価額を用います。しかし、相続税評価額は時価の1/5～1/6ではなく、一般的には時価の約1/3～1/2程度です。正確な計算には専門的な知識が必要であり、高額な財産を相続する場合は、税理士などの専門家への相談が不可欠です。相続税申告の期限は相続開始から10ヶ月以内であることを忘れないようにしましょう。