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相続財産への処分禁止仮処分登記:登記義務者と嘱託の謎を解き明かす!
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解答の記述がよく理解できませんでした。具体的には、仮処分債権者が代位で所有権移転登記を行う際の登記義務者と、なぜ嘱託による登記が必要なのかが分かりません。教えてください。
まず、用語の定義から確認しましょう。「仮処分」とは、裁判所が訴訟の判決が出る前に、争いの対象となっている財産(ここでは不動産の共有持分)について、その処分を禁止するなどの保全措置を命じる制度です(民事保全法)。「処分禁止の仮処分」は、その中でも、財産の売却や抵当権設定などの処分行為を禁止するタイプの仮処分です。
「共有」とは、複数の者が同一の財産を所有する状態です。相続によって不動産を相続した場合、相続人全員が共有者となります。
「代位登記」とは、本来登記すべき権利者(このケースでは相続人)が何らかの理由で登記できない場合、他の者がその権利者の代わりに登記を行うことです。
「嘱託登記」とは、登記官に登記を依頼することです。自分で登記申請書を作成して提出するのではなく、司法書士などの専門家に依頼して登記手続きを代行してもらうのが一般的です。
質問にある問題では、相続人が共有で所有する不動産に対して、処分禁止の仮処分が申し立てられるケースです。相続による所有権移転登記がされていない状態では、仮処分債権者は、まず相続による所有権移転登記を代位で行う必要があります。その後、その登記された共有持分に対して、処分禁止の仮処分の登記を嘱託します。
① **登記義務者:** 代位登記における登記義務者は、**相続人全員**です。仮処分債権者は、相続人全員に代わって所有権移転登記を行うのです。
② **嘱託による登記の理由:** 仮処分は、裁判所の決定に基づいて行われます。仮処分決定に基づき、その決定を証明する書類(仮処分決定書)を添付して、登記官に登記を依頼する必要があるため、嘱託による登記となります。
民事保全法、不動産登記法
仮処分は、所有権そのものを移転させるものではありません。あくまで、財産の処分を禁止する保全措置です。仮処分債権者が代位で所有権移転登記を行うのは、処分禁止の仮処分登記を行うための前提条件であり、所有権を取得するためではありません。
例えば、Aさんが亡くなり、BさんとCさんが相続人だとします。Bさんが、Cさんが自分の相続分を勝手に売却するのを防ぎたい場合、Bさんは裁判所に処分禁止の仮処分を申し立てます。裁判所が仮処分を認めた場合、Bさんは司法書士に依頼して、まずAさんからの相続による所有権移転登記を代位で行い、その後、Cさんの相続分に対する処分禁止の仮処分登記を嘱託します。この時、登記義務者はCさんとなります。
不動産登記や仮処分は、法律の専門知識が必要な手続きです。少しでも疑問点があれば、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。間違った手続きを行うと、かえって不利になる可能性があります。
相続財産に対する処分禁止の仮処分登記は、相続による所有権移転登記がされていない場合でも、仮処分債権者が代位で所有権移転登記を行い、その後、嘱託により処分禁止の仮処分登記を行う必要があります。登記義務者は相続人全員であり、嘱託は裁判所の決定に基づく手続きであるため、専門家の助言を受けることが重要です。
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