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相続財産売却の遅延:遺言に基づく相続と履行の強制手段
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母と弟が自宅に住み続け、売却に全く協力してくれません。いつまでに売却するといった期限は遺言書にはありません。このままでは、相続財産を独占されているような気がして不安です。相続税の分割払いが始まるのに、まだ一銭も受け取れていません。法律的に売却を強制することは可能でしょうか?
このケースは、遺言に基づく相続(遺言執行)と、その履行に関する問題です。遺言とは、自分が亡くなった後の財産の扱い方をあらかじめ定めた書面のことです。遺言書には、相続財産の分配方法だけでなく、執行者(遺言の内容を実行する人)を指定することもできます。今回のケースでは、遺言書に具体的な売却期限が記載されていないものの、売却して現金で相続するという意思表示が明確にされています。
はい、法律的に売却を強制することは可能です。遺言書に相続財産の売却と現金での分配が明記されており、相続人全員が合意の上で協議書に署名しているにも関わらず、売却が遅延している状態です。この場合、民事訴訟を提起し、裁判所に売却命令を請求できます。
関係する法律は、民法です。民法では、遺言の執行について規定されており、執行者(このケースでは、相続人全員が共同で執行者となります)は、遺言の内容に従って相続財産の管理・処分を行う義務を負います。執行者が遺言の内容に従わず、相続手続きを滞らせている場合、他の相続人は裁判所に執行の催告や代執行を請求できます。代執行とは、裁判所が執行者の代わりに売却などの手続きを行うことです。
協議書にサインしたからといって、必ずしもその通りに事が進むとは限りません。協議書はあくまで合意を示すものであり、法的拘束力(契約のような法的効力)は必ずしも強くありません。遺言書の内容と矛盾する協議書の内容は、遺言書に優先されません。
まず、母と弟に改めて売却の意思確認を行い、具体的なスケジュールを提示することをお勧めします。それでも売却に協力しない場合は、弁護士に相談し、内容証明郵便で売却を求める書面を送付することを検討しましょう。それでも解決しない場合は、裁判所に訴訟を提起する必要があります。裁判手続きには費用と時間がかかりますが、相続財産を確実に取得するためには必要な手段です。
相続問題は複雑で、法律の専門知識が必要な場合があります。特に、裁判手続きを検討する場合は、弁護士などの専門家に相談することが重要です。弁護士は、訴訟戦略の立案、証拠収集、裁判手続きの代行など、様々なサポートをしてくれます。また、相続税の申告や分割払いについても、税理士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
遺言書に売却が明記されていれば、相続人は売却を強制できます。協議書に合意事項が記載されていても、遺言書に反する場合は無効となる可能性があります。スムーズな相続手続きのためには、早めの専門家への相談が重要です。裁判という手段もありますが、時間と費用がかかることを念頭に置いてください。相続手続きは、感情的な問題も絡みやすいので、冷静に、そして専門家の力を借りながら進めていくことが大切です。
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