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相続開始前の空き家屋根修理:緊急時の対応と法的根拠

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他の相続人の承諾を得ずに、私だけで空き家の屋根修理を進めても問題ないのか、また、法的根拠はあるのか知りたいです。
相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産が相続人(法律上の相続権を持つ人)に承継されることです。相続財産には、不動産(家屋、土地など)、預金、有価証券など様々なものが含まれます。遺産分割とは、相続人複数いる場合に、相続財産をどのように分割するかを決める手続きです。遺産分割が完了するまでは、相続財産は相続人全員共有のものとなります(共有物)。
相続開始後、遺産分割協議が難航している状況で、相続財産である空き家の屋根修理を行うことは、原則として他の相続人の同意が必要です。しかし、今回のケースのように、屋根の老朽化が歩行者にも危険を及ぼす緊急性が高い場合は、相続人全員の同意がなくても、必要な修理を行うことができます。これは、**共有物の保存行為**(共有者が共有物の現状を維持するために必要な行為)という考え方に基づきます。
民法の共有に関する規定(民法257条以下)が関係します。共有物の保存行為は、個々の共有者の同意を得なくても行うことができます。ただし、保存行為であっても、**著しく不当な負担**を他の共有者に負わせるような行為は認められません。
「緊急性が高い」とは、具体的にどのような状況を指すのか、判断が難しい場合があります。例えば、雨漏り程度であれば、緊急性が高いとは言えないかもしれません。しかし、屋根の崩落が差し迫っており、歩行者の安全に重大な危険が及ぶような場合は、緊急性が高いと判断できます。
修理を行う前に、写真や動画で現状を記録し、見積もりを取得しておきましょう。修理費用は、後日の遺産分割協議において、他の相続人との間で精算する必要があります。修理費用を負担した相続人は、他の相続人に対して、その費用負担分を請求することができます。
例えば、屋根修理費用が100万円かかった場合、相続人が3人であれば、修理を行った相続人は他の2人に対して、それぞれ33万円を請求できます。ただし、遺産分割協議で、この費用負担分がどのように扱われるかは、相続人同士の合意によって決まります。
遺産分割協議が難航している場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、法律的な観点から適切なアドバイスを行い、相続人同士の合意形成を支援してくれます。特に、修理費用負担の精算や、将来的なトラブルを回避するためにも、専門家の助言は非常に重要です。
緊急性の高い共有物の修理は、他の相続人の同意がなくても行うことができます。しかし、費用負担については、後日の遺産分割協議で精算する必要があります。専門家の助言を得ながら、迅速かつ適切な対応を行いましょう。 特に、修理費用やその後の遺産分割に関して、相続人同士でトラブルにならないよう、記録をきちんと残し、弁護士などの専門家への相談を検討することが重要です。
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