
- Q&A
相続開始後の遺産分割と第三者への対抗力:民法909条ただし書きの解説
共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック【悩み】
民法909条のただし書きに「第三者の権利を害することはできない」とありますが、遺産分割協議前にA社が土地の所有権を主張してきた場合、登記がなくてもA社に対抗できるのかどうかが分かりません。遺産分割協議で、この土地を相続放棄するなど、何か対策が必要なのか悩んでいます。
民法909条は、遺産分割の効力について規定しています。遺産分割とは、相続人が相続財産をどのように分けるかを決める手続きです。 この条文のただし書きは、「遺産分割の効力は、相続開始の時から生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と定めています。つまり、遺産分割は、相続開始時点から効力を持つとされていますが、既に第三者が権利を取得している場合は、その権利を侵害することはできないということです。
「第三者」とは、相続人以外の人を指します。今回のケースでは、A社が第三者に該当します。「権利」とは、所有権、抵当権(担保として不動産を差し出す権利)、賃借権(借りる権利)など、法律上認められた権利を指します。
今回のケースでは、A社は父との売買契約に基づき、土地の所有権を主張しています。仮に、売買契約が有効であれば、A社は土地の所有権を取得しています。この場合、遺産分割協議において、たとえA社が土地の登記(所有権を公的に証明する手続き)をしていないとしても、A社の所有権は既に成立しており、遺産分割によってその権利を奪うことはできません。民法909条のただし書きによって、A社の権利は保護されます。
関係する法律は民法909条です。 また、土地の所有権の移転は、原則として登記によって公示されます(登記簿に所有者として記録されます)。しかし、登記がなくても、所有権が成立している場合があります。例えば、A社が父との間で有効な売買契約を結び、所有権移転の意思表示(所有権を移転する意思を明確に示すこと)がなされていれば、登記がなくても所有権はA社に移転していると考えられます。
誤解されやすいのは、「登記がないと、第三者の権利は認められない」という点です。登記は所有権を公示する重要な手段ですが、登記がないからといって、所有権そのものが否定されるわけではありません。所有権の成立は、登記とは別に、売買契約などの法的根拠に基づいて判断されます。
相続財産に係争中の財産が含まれる場合は、遺産分割協議の前に、弁護士などの専門家に相談することが重要です。A社との売買契約の有効性や、土地の所有権の帰属について、専門家の意見を聞くことで、適切な対応を検討できます。例えば、A社との交渉、訴訟、あるいは土地の相続放棄などの選択肢があります。
今回のケースのように、相続財産に係争中の財産が含まれる場合、または法律的な知識が不足している場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、紛争解決をサポートしてくれます。特に、土地などの高額な財産が絡む場合は、専門家の助言なしに独断で行動すると、かえって損害を被る可能性があります。
民法909条のただし書きは、遺産分割の遡及効(過去にさかのぼって効力が及ぶこと)が第三者の権利を害することはできないと定めています。 A社が父との有効な売買契約に基づき土地の所有権を有する場合、たとえ登記がなくても、遺産分割によってその権利を奪うことはできません。相続財産に係争中の財産がある場合は、専門家に相談し、適切な対応を検討することが重要です。 登記の有無は所有権の有無とは必ずしも一致しない点に注意が必要です。
共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック