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破産法による否認登記、登記官職権での抹消は可能?根抵当権抹消の手続きを解説

質問の概要

【背景】

  • 不動産登記に、破産法に基づく「否認」の登記がされました。対象は根抵当権です。
  • 破産管財人(破産した人の財産を管理・処分する人)が、この否認された登記を抹消したいと考えています。

【悩み】

  • 否認された登記は、登記官の職権(登記官自身の判断)で抹消されるのか疑問に思っています。
  • もし職権抹消されない場合、根抵当権を抹消するために、根抵当権者の同意書や裁判所の判決が必要なのか知りたいです。
  • 破産管財人が手続きを進めたいと考えています。
結論:原則、否認登記の抹消には別途手続きが必要。根抵当権者の協力が不可欠です。

回答と解説

テーマの基礎知識:破産法における否認と根抵当権

まず、今回のテーマに出てくる専門用語について、簡単に説明します。

破産法(はさんほう)とは、経済的に困窮した人(または法人)が、裁判所の監督のもとで、財産を公平に分配し、借金を整理するための法律です。破産手続きは、債務者(借金をしている人)の再建を目的とするものではなく、債権者(お金を貸している人)への公平な分配を目的としています。

否認(ひにん)とは、破産手続きにおいて、破産者の財産を不当に減少させたり、特定の債権者に有利な扱いをしたりする行為を、破産管財人が取り消すことができる制度です。これにより、破産者の財産を回復し、債権者への公平な分配を目指します。

根抵当権(ねていとうけん)とは、継続的な取引から生じる不特定の債権を担保するための抵当権です。通常の抵当権と異なり、借入額の上限(極度額)を設定し、その範囲内であれば、借入と返済を繰り返すことができます。

今回のケースでは、破産者の財産から不当に根抵当権が設定されたと判断され、破産管財人がその根抵当権を否認したという状況です。

今回のケースへの直接的な回答:否認登記の抹消

破産法に基づく否認登記がされた場合、原則として、登記官が職権でその登記を抹消することはできません。なぜなら、否認登記は、あくまで「この登記は破産手続き上、無効と主張する」ということを公示するものであり、それ自体が権利を消滅させるものではないからです。

では、どのようにして根抵当権を抹消するのでしょうか?

基本的には、以下のいずれかの方法が必要となります。

  • 根抵当権者の同意:根抵当権者が、根抵当権を抹消することに同意し、抹消登記に必要な書類(解除証書など)を提出する。
  • 裁判所の判決:破産管財人が、根抵当権者に対して、根抵当権抹消を求める訴訟を起こし、裁判所がその請求を認める判決を出す。

今回のケースでは、破産管財人が手続きを進める立場ですので、根抵当権者との交渉、または裁判手続きを行う必要があります。

関係する法律や制度:破産法と不動産登記法

今回のケースで関係する法律は、主に以下の2つです。

  • 破産法:否認権に関する規定があり、破産管財人が不当な行為を取り消すための根拠となります。
  • 不動産登記法:登記手続きに関するルールを定めています。否認登記や抹消登記の手続きも、この法律に基づいて行われます。

不動産登記法には、登記官が職権で登記を抹消できる場合が定められています(例えば、誤った登記や、権利が消滅した場合など)。しかし、今回のケースのように、否認登記がされた場合は、原則として、この職権抹消の対象にはなりません。

誤解されがちなポイントの整理:否認登記の性質

多くの人が誤解しやすい点として、否認登記の性質があります。否認登記は、あくまで「警告」のようなものであり、それ自体が権利を消滅させるものではありません。つまり、否認登記がされたからといって、すぐに根抵当権が消えるわけではないのです。

否認登記は、破産管財人が「この根抵当権は破産手続き上、無効である」と主張していることを公示するものです。この登記があることで、第三者に対して、その根抵当権に問題があることを知らせることができます。

根抵当権を本当に抹消するためには、前述の通り、根抵当権者の同意や裁判所の判決が必要となります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介:根抵当権抹消の手続き

破産管財人が根抵当権を抹消するための具体的な手続きは、以下のようになります。

  1. 根抵当権者との交渉:まず、根抵当権者と交渉し、根抵当権抹消の同意を得ることを試みます。根抵当権者が任意で抹消に同意すれば、スムーズに手続きが進みます。
  2. 抹消登記に必要な書類の準備:根抵当権者の同意が得られた場合、抹消登記に必要な書類(解除証書、登記識別情報など)を準備します。
  3. 法務局への申請:必要な書類を揃え、管轄の法務局に抹消登記を申請します。
  4. 訴訟提起:根抵当権者が抹消に同意しない場合は、裁判所に根抵当権抹消を求める訴訟を提起します。
  5. 判決取得:裁判で勝訴した場合、判決に基づいて抹消登記を行います。

具体例として、破産管財人が、破産者の財産から不当に高額な根抵当権が設定されていることを発見した場合を考えてみましょう。破産管財人は、まず根抵当権者に対して、根抵当権の減額や抹消を求めます。根抵当権者がこれに応じない場合、破産管財人は裁判所に訴訟を提起し、裁判所の判断を仰ぐことになります。

専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースは、専門的な知識が必要となるため、専門家への相談が不可欠です。具体的には、以下の専門家への相談が考えられます。

  • 弁護士:破産法や不動産登記法に精通した弁護士は、否認権行使の手続きや、根抵当権抹消の訴訟などを代理してくれます。
  • 司法書士:不動産登記に関する専門家であり、抹消登記の手続きを代行してくれます。

専門家に相談することで、適切なアドバイスを受け、スムーズに手続きを進めることができます。また、専門家は、複雑な法律問題を理解し、法的リスクを回避するためのサポートをしてくれます。

まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回の質問の重要ポイントをまとめます。

  • 破産法に基づく否認登記がされた場合、原則として、登記官が職権でその登記を抹消することはできません。
  • 根抵当権を抹消するためには、根抵当権者の同意や裁判所の判決が必要となります。
  • 破産管財人は、根抵当権者との交渉や裁判手続きを通じて、根抵当権の抹消を目指します。
  • 専門家(弁護士、司法書士)に相談することで、適切なアドバイスを受け、スムーズに手続きを進めることができます。

今回のケースは、専門的な知識と手続きが必要となるため、ご自身だけで判断せず、専門家にご相談されることを強くおすすめします。

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