空き家と共同名義の土地相続：３人の相続人のための円満な遺産分割の方法

質問: 遺産相続について質問です。長文です。母が亡くなると、私を含めてその子供の3人が相続人になります。遺産は母が住んでいた家［現在空き家で家具なども残っています］、母が住んでいた家の土地［現在母を含めて4人の共同名義ということになってます。］、母の預貯金、父が亡くなってから、登記をしていないので法務局では父の名義のままでした。固定資産税などは長男が払っているそうです。相続に関して私の希望は、預貯金は葬儀の支払いなどに回して残った金額を三等分する。土地の名義は3人の共同名義にする。また、土地に関わる税金も3人で分割して払う。母の住んでいた家は、空き家トラブルなどがおきたときにお金を出して対処できないので、解体。家を残す場合は、私以外の所有者を決める。所有者はいかなるトラブルがあっても、私に金銭的要求やトラブル解決などを求めないことを誓約してもらいたい。以上のことを求めても法律上問題ないでしょうか？また遺産分割協議書を作成したほうがいいでしょうか？作成する場合はどの職業の方に頼むべきでしょうか？

はい、可能です。遺産分割協議書の作成が必須です。

相続の基礎知識：法定相続と遺産分割

相続とは、被相続人（亡くなった人）の財産が、相続人（法律で定められた相続権を持つ人）に引き継がれることです。今回のケースでは、お母様の子供3人が法定相続人となります。相続財産には、預貯金、土地、建物などが含まれます。

相続開始後、相続人全員で話し合って遺産分割を行うのが一般的です。遺産分割は、相続人全員の合意に基づいて行うことができます。合意ができない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます（調停が不成立の場合は審判となります）。

今回のケースへの対応：希望通りの遺産分割は可能か？

質問者様の希望である、預貯金の3等分、土地の3名共同名義、建物の解体などは、相続人全員の合意があれば法律上問題ありません。ただし、土地の税金分担や、建物の解体費用なども、相続人3名でどのように負担するのかを明確にする必要があります。

また、「私以外の所有者はいかなるトラブルがあっても、私に金銭的要求やトラブル解決などを求めないことを誓約してもらいたい」という希望については、誓約書を作成することで実現可能です。しかし、法律的な強制力はありません。トラブル発生時のリスクを完全に排除することは難しいことを理解しておきましょう。

関係する法律：民法

遺産相続に関する法律は、主に民法（特に第900条以降）に規定されています。この法律では、相続人の範囲、相続財産の範囲、遺産分割の方法などが定められています。特に、遺産分割協議書の作成は、後々のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。

誤解されがちなポイント：相続税と遺産分割

相続税は、相続財産の評価額（相続税評価額）に基づいて課税されます。遺産分割は、相続税の課税が完了した後に、相続人同士で行う手続きです。遺産分割の方法によって相続税額が変わることはありません。ただし、分割方法によっては、各相続人の相続税負担額が変わる可能性があります。

実務的なアドバイス：遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書を作成することで、相続人全員の合意内容を明確に文書化し、後々のトラブルを予防することができます。協議書には、遺産の内容、分割方法、各相続人の負担する費用、誓約事項などを具体的に記載する必要があります。

専門家に相談すべき場合：円滑な相続のために

相続は複雑な手続きが多く、専門知識が必要な場合もあります。特に、相続財産に高額な不動産が含まれている場合、相続税の申告が必要な場合、相続人同士で意見が対立している場合は、専門家（弁護士、司法書士、税理士など）に相談することをお勧めします。

まとめ：円満な相続に向けて

遺産相続は、感情的な問題も絡みやすく、相続人同士のトラブルに発展しやすいものです。事前にしっかりと話し合い、遺産分割協議書を作成することで、円満な相続を実現しましょう。専門家の力を借りることも検討し、安心して相続手続きを進めてください。特に、今回のケースでは、空き家の管理や解体費用、土地の共同名義に伴う税金負担など、事前に十分な協議と合意形成が重要となります。弁護士や司法書士に相談することで、法的な観点から適切なアドバイスを受けることができます。