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空き家放置!所有権取得の可能性と注意点~法律と現実の狭間~

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このような空き家状態が何年も続いている家の所有権って、取得できるのでしょうか? 法律的に可能なのか、そして実際に取得するにはどうすればいいのかを知りたいです。
まず、所有権とは、物(この場合は不動産である家)に対する最も広い権利のことです。所有者は、その家を自由に使用したり、処分したりすることができます。しかし、所有者が家を放置したからといって、誰でも自由に所有権を取得できるわけではありません。日本の法律では、所有権の移転には、原則として所有者の同意が必要です。
質問にあるような、長期間放置された空き家の所有権を取得する方法は、大きく分けて2つあります。
一つ目は「時効取得(占有)」です。これは、一定期間、他人の土地や建物を占有し、所有者であることを公然と主張することで、所有権を取得できる制度です(民法第162条)。しかし、単に空き家を放置しているだけでは時効取得は成立しません。善意(所有権がないと知らなかったこと)かつ悪意なく(故意に占有したのではないこと)、そして20年間継続して平穏に占有することが必要です。さらに、所有者の所在が不明な場合でも、所有者への告知義務を満たす必要があります。これは非常にハードルが高いと言えるでしょう。
もう一つは、「裁判による所有権取得」です。例えば、所有者が行方不明で、相続人がいないなど、所有権の帰属が明確でない場合、裁判所に所有権の確認を請求することができます。裁判所は、証拠などを総合的に判断し、所有権を決定します。これも、容易ではありません。
主な関係法令は民法です。特に、所有権に関する規定(民法第188条以下)や時効取得に関する規定(民法第162条)が重要になります。また、空き家問題に対応するため、各自治体では独自の条例を制定している場合もあります。
「空き家だから自由に使える」という誤解は危険です。たとえ長期間放置されていても、所有者が存在する限り、勝手に使用したり、改修したりすることは違法行為です。不法占拠となり、刑事罰や民事責任を問われる可能性があります。
空き家の所有権を取得することは、非常に困難です。専門家の助言なしに安易に手を出すべきではありません。仮に時効取得を目指したとしても、20年間の占有、善意・悪意の立証、告知義務の履行など、多くのハードルがあります。
例えば、近隣住民が長年放置された空き家を勝手に使用し始め、時効取得を主張したケースがあったとします。しかし、所有者が見つかったり、所有者が占有を許諾していなかったことが判明すれば、不法占拠として訴えられる可能性があります。
所有権取得を検討する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが不可欠です。彼らは法律の専門家であり、複雑な手続きやリスクを理解しています。専門家の助言を得ることで、法的リスクを最小限に抑え、適切な対応を取ることができます。
空き家の所有権取得は、時効取得や裁判による取得が考えられますが、非常に困難です。安易な行動は不法占拠となり、法的責任を問われる可能性があります。専門家の助言を得ながら、慎重に進めることが重要です。 放置された空き家を見かけても、勝手に手を出すことは避け、まずは専門家への相談を検討しましょう。
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