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築50年共有物件の屋根葺き替え費用:認知症の母と弁護士への対応と法的根拠

質問の概要

【背景】
* 築50年の木造1戸建てを私(60歳)3/5、母(94歳、認知症)2/5の割合で共有しています。
* 固定資産税も持分割合で支払っています。
* 母は5年前から認知症を患い、兄が引き取り、2年前から老人ホームに入所しています。
* 3年前、兄と土地をめぐり裁判になり和解しました。
* 和解を機に、母には第三者後見人弁護士がついています。
* 私は家が建ってからずっと住んでおり、5年前まで母と一緒でした。

【悩み】
瓦屋根が老朽化し、葺き替えが必要になりました。民法で共有物の保存行為は持分に応じて費用負担とありますが、母の資産(後見人弁護士が管理)から持ち分割合の費用負担を依頼する方法が分かりません。弁護士への伝え方、見積書、承諾書、承諾しない場合の対処法を知りたいです。

母と共有する建物の屋根葺き替え費用は、あなたの持分割合を上回る負担を求めることはできません。

回答と解説

テーマの基礎知識(共有物と共有者の責任)

民法では、共有物件(複数の人が所有する物件)の維持管理について規定しています。共有者は、その持分に応じて、共有物件の保存行為(例えば、今回の屋根葺き替え)に必要な費用を負担する義務があります(民法250条)。これは、共有物件の価値を維持し、各共有者の利益を守るためです。 「保存行為」とは、共有物件の現状を維持するための行為を指します。例えば、修繕、改修、清掃などが該当します。一方、「改良行為」は、共有物件の価値を高める行為で、これには共有者の全員の同意が必要です。屋根の葺き替えは、現状維持のための「保存行為」に該当します。

今回のケースへの直接的な回答

あなたのケースでは、屋根の葺き替えは共有物件の保存行為にあたり、あなたは3/5、母は2/5の割合で費用を負担する必要があります。母は認知症で判断能力がないため、後見人弁護士を通じて費用負担の依頼をする必要があります。

関係する法律や制度

* **民法第250条:** 共有物の保存行為に関する費用負担
* **成年後見制度:** 認知症などで判断能力が不十分な人の財産管理を支援する制度。後見人は、被後見人の利益のために財産を管理する義務があります。

誤解されがちなポイントの整理

* **全額負担を請求できない:** あなたの持分(3/5)を超える費用を母に負担させることはできません。
* **弁護士の同意が必須:** 母の財産は後見人弁護士が管理しているので、費用負担には弁護士の同意が必要です。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

① **弁護士への伝え方:** 丁寧な書面で、民法第250条に基づき、屋根葺き替えの必要性と費用、あなたの負担割合、母の負担割合を明確に説明しましょう。見積書を添付し、工事内容を具体的に示すことが重要です。感情的な表現は避け、冷静に事実を伝えましょう。

② **工事見積:** 複数の業者から見積もりを取り、最も適切なものを選びましょう。見積書には、工事内容、費用、工期などが明確に記載されている必要があります。

③ **了解を得たことを書いてもらう書面:** 弁護士から、費用負担の承諾を得たことを示す書面(承諾書)を作成してもらいましょう。書面には、工事内容、費用、負担割合、承諾日、弁護士の氏名、印鑑などが記載されている必要があります。

④ **承諾しない場合の対処法:** 弁護士が承諾しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停では、裁判官が仲介に入り、合意形成を目指します。調停が不成立の場合は、訴訟(裁判)に進むこともできます。

専門家に相談すべき場合とその理由

弁護士が承諾しない場合や、調停・訴訟が必要な場合は、専門家(弁護士)に相談することが重要です。法律的な手続きや交渉に精通している専門家のアドバイスを受けることで、より円滑に問題解決を進めることができます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

共有物件の維持管理費用は、各共有者の持分に応じて負担する義務があります。認知症の母の財産からの費用負担には、後見人弁護士の同意が必要です。丁寧な説明と明確な書面、必要に応じて専門家の力を借りることで、問題を解決できる可能性が高まります。 費用負担に関する交渉は、感情的にならず、法律に基づいた冷静な対応が求められます。

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