自己破産ってどんな制度?基礎知識を整理
自己破産とは、借金を抱えてしまい、返済の見込みがなくなった人が、裁判所に申し立てて、借金の支払いを免除してもらう(免責)ための手続きです。簡単に言うと、「借金を帳消しにする」ための制度です。
しかし、自己破産をすると、すべての借金がなくなるわけではありません。税金や養育費など、免除されない借金(非免責債権)もあります。また、自己破産の手続き中は、一部の職業に就けなくなったり(資格制限)、新たな借金ができなくなったりと、生活に制限が加わることもあります。
今回のケースへの直接的な回答
自営業の方が自己破産する場合、所有している財産(車や工具など)がどのように扱われるかは、個々の状況によって異なります。自己破産の手続きを進める中で、裁判所は、債務者の財産を換価(お金に換えること)し、債権者への配当に充てる場合があります。
しかし、生活に必要なものや、仕事に不可欠なものについては、必ずしも手放す必要がないケースもあります。例えば、車が生活に不可欠であり、かつその価値が低い場合(ローンが終わっているなど)、手元に残せる可能性もあります。工具についても、仕事をする上で必要不可欠であれば、同様に手元に残せる可能性があります。
重要なのは、自己破産の手続きの中で、自分の状況を正直に裁判所に説明し、必要なものは残したいという意思を伝えることです。
自己破産に関わる法律や制度
自己破産は、破産法という法律に基づいて行われます。破産法は、債務者の経済的な再生を支援し、債権者の権利を保護することを目的としています。
自己破産の手続きは、大きく分けて「破産手続き開始決定」と「免責許可決定」の二つの段階があります。
- 破産手続き開始決定:裁判所が、債務者の借金が返済不能であると認めた場合に、破産手続きを開始する決定をします。この決定がされると、債務者の財産は、破産管財人(裁判所が選任する専門家)によって管理されることになります。
- 免責許可決定:裁判所が、債務者の免責を認める決定をします。免責が許可されると、原則として、債務者は借金の支払い義務を免れることができます。
また、自己破産の手続きには、同時廃止と管財事件という二つの種類があります。財産が少ない場合は同時廃止となり、手続きが簡略化されます。財産が多い場合は管財事件となり、破産管財人が債務者の財産を調査し、換価処分を行います。
誤解されがちなポイントの整理
自己破産について、よく誤解される点があります。
- 自己破産をすると、すべての財産を失う:必ずしもそうではありません。生活に必要なものや、一定の価値以下の財産は、手元に残せる可能性があります。
- 自己破産をすると、一生借金ができなくなる:自己破産後、一定期間(概ね7~10年)は、新たな借入が難しくなりますが、その後は再び借入が可能になることもあります。
- 自己破産をすると、家族にも迷惑がかかる:原則として、自己破産は、破産した本人のみに影響が及びます。家族の財産や信用情報に影響することはありません。ただし、家族が連帯保証人になっている場合は、その家族が借金を返済しなければならない可能性があります。
- 自己破産をすると、必ず廃業しなければならない:自己破産をしたからといって、必ずしも廃業しなければならないわけではありません。仕事に必要な道具や車を残せる可能性もあり、状況によっては事業を継続することも可能です。
実務的なアドバイスと具体例
自己破産を検討している自営業者の方が、実際にどのような準備をすればよいか、具体的なアドバイスをします。
- 弁護士に相談する:まずは、自己破産に詳しい弁護士に相談しましょう。自分の状況を詳しく説明し、自己破産の手続きや、財産の扱いについてアドバイスをもらいましょう。弁護士は、あなたの状況に合わせて、最適な方法を提案してくれます。
- 財産を整理する:自己破産の手続きが始まると、自分の財産を裁判所に報告する必要があります。事前に、所有している財産をリストアップし、価値を把握しておきましょう。
- 必要なものは残せるように準備する:生活に必要なものや、仕事に不可欠なものは、手元に残せるように、弁護士と相談しながら準備を進めましょう。例えば、車のローンが終わっている場合は、裁判所にその旨を説明し、手元に残せるように交渉することができます。
- 事業の継続を検討する:自己破産後も、事業を継続したい場合は、その旨を弁護士に相談しましょう。事業に必要な設備や資金を確保する方法や、事業を継続するための戦略について、アドバイスをもらうことができます。
具体例:
電気工事の自営業者が自己破産する場合、
- ケース1:仕事に必要な工具が高価で、売却すると債権者への配当に大きく貢献できる場合、工具を手放す可能性があります。しかし、その工具がなければ仕事ができない場合、弁護士を通じて、工具を残せるように交渉することができます。
- ケース2:車が仕事に不可欠であり、かつローンの残債がない場合、裁判所にその旨を説明し、車を手元に残せる可能性が高まります。
専門家に相談すべき場合とその理由
自己破産は、専門的な知識が必要な手続きです。以下の場合は、必ず専門家(弁護士)に相談しましょう。
- 借金の額が大きく、返済の見込みがない場合:借金の額が大きく、自力での返済が難しい場合は、自己破産を検討する必要があります。専門家は、あなたの状況を詳しく分析し、自己破産の手続きを進めるためのアドバイスをしてくれます。
- 財産が複雑な場合:不動産や、高価な財産を所有している場合は、財産の評価や、手続きが複雑になります。専門家は、あなたの財産の状況に合わせて、適切なアドバイスをしてくれます。
- 事業を継続したい場合:自己破産後も、事業を継続したい場合は、専門家のサポートが不可欠です。専門家は、事業を継続するための方法や、資金調達について、アドバイスをしてくれます。
- 手続きについて不安がある場合:自己破産の手続きは、複雑で、わからないことも多いものです。少しでも不安がある場合は、専門家に相談し、安心して手続きを進めましょう。
自己破産に関する相談は、弁護士事務所の無料相談などを活用することもできます。
まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)
自己破産は、借金問題を解決するための有効な手段ですが、手続きやその後の生活には様々な影響があります。自営業の方が自己破産する場合、車や工具がどうなるかは、個々の状況によって異なります。
自己破産を検討している場合は、まず弁護士に相談し、自分の状況を正確に把握することが重要です。専門家のサポートを受けながら、最適な解決策を見つけましょう。

