自己破産を検討する際の基礎知識
自己破産とは、借金が返済不能になった場合に、裁判所に申し立てて、借金を帳消しにする(免責(めんせき))手続きのことです。自己破産をすると、原則として、すべての借金の支払いが免除されます。ただし、税金や養育費など、一部の債務(さいむ)(支払い義務)は免除されません。
自己破産には、大きく分けて「管財事件」と「同時廃止(どうじはいし)」という2つの手続きがあります。管財事件は、破産者の財産が多い場合や、財産の調査が必要な場合に行われます。この場合、裁判所が選任した破産管財人(はさんかんざいにん)が、破産者の財産を管理し、債権者(さいけんしゃ)(お金を貸した人など)への配当を行います。同時廃止は、破産者に財産がほとんどない場合に行われ、手続きが比較的短期間で終了します。
自己破産の手続きを始めるには、裁判所に破産申立書(はさんもうしたてしょ)を提出し、必要書類を揃える必要があります。その後、裁判所は破産手続き開始の決定を行い、債権者集会(さいけんしゃしゅうかい)などを経て、免責許可(めんせききょか)の決定が出れば、借金の支払いが免除されます。
今回のケースへの直接的な回答
ご相談の内容から、会社と個人の両方の破産を検討されている状況のようです。会社については、業績が低迷し、借入金の返済が困難な状況であり、個人の負債も多額で、返済の目処が立たないため、自己破産を検討するのは一つの選択肢です。
まず、ご自身の状況を整理し、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、自己破産の手続きだけでなく、他の債務整理(さいむせいり)方法(例:個人再生(こじんさいせい)、任意整理(にんいせいり))についてもアドバイスをしてくれます。また、破産した場合に、どのような財産が没収されるのか、どのような手続きになるのかなど、具体的な説明を受けることができます。
次に、車についてですが、会社名義の車は、破産手続きの中で処分される可能性があります。車の価値が30万円~40万円程度とのことですので、破産管財人(はさんかんざいにん)によって換価(かんか)(現金化)される可能性が高いです。個人名義に変更して隠すことは、資産隠しとみなされる可能性があり、免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)に該当する可能性があります。免責不許可事由とは、自己破産の手続きにおいて、裁判所が免責を認めない理由のことです。
液晶テレビについては、5年前に購入したもので、40万円程度ということですので、破産手続きの中で処分される可能性は低いと考えられます。ただし、高価なもの(例:高級オーディオなど)や、価値の高いコレクションなどは、財産とみなされる可能性があります。
関係する法律や制度について
自己破産に関する主な法律は、「破産法」です。破産法は、破産手続きの流れや、破産者の権利、債権者の権利などを定めています。また、民事再生法や、民法なども、自己破産に関係する場合があります。
自己破産の手続きは、裁判所を通じて行われます。裁判所は、破産者の財産状況や、借金の状況などを調査し、免責の可否を判断します。免責が認められると、原則として、借金の支払いが免除されます。
自己破産の手続きは、専門的な知識が必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。弁護士は、破産手続きの代理人として、裁判所とのやり取りや、債権者との交渉などを行います。
誤解されがちなポイントの整理
自己破産について、誤解されやすいポイントをいくつか整理します。
・自己破産をすると、すべての財産を失うわけではない
自己破産をすると、原則として、すべての財産が処分されるわけではありません。生活に必要な家財道具(例:家具、家電など)や、一定額以下の現金などは、手元に残すことができます。
・自己破産をすると、選挙権がなくなるわけではない
自己破産をしても、選挙権を失うことはありません。また、戸籍や住民票に自己破産したことが記載されることもありません。
・自己破産をすると、一生、借金ができなくなるわけではない
自己破産をすると、一定期間(概ね7〜10年程度)は、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。しかし、この期間が過ぎれば、再び借入をすることも可能になります。
・自己破産をすると、家族に迷惑がかかる場合がある
自己破産をすると、保証人(ほしょうにん)がいる場合、保証人が借金を代わりに支払うことになります。また、家族が所有する財産が、破産者の借金の担保となっている場合、その財産が処分される可能性があります。
実務的なアドバイスと具体例の紹介
自己破産を検討するにあたって、実務的なアドバイスをいくつかご紹介します。
・弁護士に相談する
まずは、弁護士に相談し、ご自身の状況を詳しく説明しましょう。弁護士は、自己破産の手続きだけでなく、他の債務整理方法についてもアドバイスをしてくれます。また、弁護士費用についても、分割払いや、法テラス(日本司法支援センター)の利用など、様々な方法がありますので、相談してみましょう。
・財産を把握する
自己破産の手続きをするためには、ご自身の財産を正確に把握する必要があります。預貯金、不動産、自動車、保険、有価証券など、すべての財産をリストアップしましょう。また、借金の状況についても、債権者、借入金額、借入時期などを整理しておきましょう。
・資産隠しはしない
資産隠しは、免責不許可事由に該当する可能性があります。自己破産の手続きにおいては、正直に財産を申告し、誠実に対応することが重要です。
・生活費を確保する
自己破産の手続き中は、生活費が不足する可能性があります。生活保護の申請や、親族からの援助など、生活費を確保する方法を検討しましょう。
・再出発に向けて準備する
自己破産の手続きが終わった後、再出発に向けて準備を始めましょう。就職活動や、資格取得など、将来の目標を立て、計画的に行動しましょう。
具体例:
Aさんは、多額の借金を抱え、自己破産を検討していました。Aさんは、弁護士に相談し、自己破産の手続きを依頼しました。Aさんは、正直に財産を申告し、誠実に対応しました。裁判所は、Aさんの自己破産を認め、免責を許可しました。Aさんは、借金の支払いが免除され、再出発することができました。
専門家に相談すべき場合とその理由
自己破産を検討している場合は、必ず専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士は、法律の専門家であり、自己破産の手続きについて、的確なアドバイスをしてくれます。また、弁護士は、債権者との交渉や、裁判所とのやり取りなど、手続きを代行してくれます。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 専門的なアドバイスを受けられる:自己破産の手続きや、法律に関する専門知識を提供してもらえます。
- 手続きを代行してもらえる:煩雑な手続きを、弁護士が代行してくれます。
- 債権者との交渉をしてもらえる:債権者との交渉を、弁護士が行ってくれます。
- 精神的な負担を軽減できる:手続きに関する不安や、精神的な負担を軽減できます。
自己破産の手続きは、専門的な知識が必要となるため、ご自身だけで行うことは困難です。必ず弁護士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けましょう。
まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)
今回の相談内容を踏まえ、重要なポイントをまとめます。
- 自己破産を検討する前に、弁護士に相談する:専門家のアドバイスを受け、ご自身の状況を整理しましょう。
- 車の処分については、弁護士と相談する:会社名義の車は、破産手続きの中で処分される可能性が高いです。個人名義への変更は、資産隠しとみなされる可能性があります。
- 資産隠しはしない:正直に財産を申告し、誠実に対応しましょう。
- 過払い金は、弁護士費用に充てる:80万円の過払い金は、弁護士費用に充てることができます。
- 再出発に向けて準備する:自己破産の手続きが終わった後、再出発に向けて準備を始めましょう。
自己破産は、人生における大きな決断です。焦らず、専門家と相談しながら、最適な選択をしてください。

