当事者訴訟って何?基礎知識を分かりやすく解説

行政事件訴訟法における「当事者訴訟」とは、簡単に言うと、国や地方公共団体(行政)を相手に、国民が自分の権利や義務について争うための裁判のことです。
行政が行ったことによって、自分が損害を被ったり、不利益を被ったりした場合に、その是正を求めるために起こします。
例えば、税金の払い過ぎを返してもらう場合や、不当な処分を取り消してもらう場合などが該当します。

行政事件訴訟法は、国民が行政に対して裁判を起こすためのルールを定めた法律です。
この法律には、様々な種類の訴訟が規定されていますが、当事者訴訟はその一つです。

当事者訴訟の種類:形式的と実質的の違い

当事者訴訟には、大きく分けて「形式的当事者訴訟」と「実質的当事者訴訟」の2種類があります。
それぞれの違いを理解することが、当事者訴訟を理解する第一歩です。

形式的当事者訴訟

法律(行政法以外の法律も含む)に基づいて、当事者間の具体的な権利関係を確定する訴訟です。
例えば、公害に関する損害賠償請求訴訟などがこれに当たります。
このタイプの訴訟では、行政庁の処分自体を争うのではなく、処分を前提とした上で、当事者間の権利関係を明らかにします。

実質的当事者訴訟

行政庁の処分によって、直接自分の権利や利益が侵害された場合に、その処分の有効性を争う訴訟です。
この訴訟では、行政庁の処分自体が違法かどうかを裁判所が判断します。
例えば、建築確認申請が不許可になった場合、その不許可処分の違法性を争う訴訟などが該当します。

当事者訴訟の具体例:どんな時に起こすの?

当事者訴訟がどのような場面で利用されるのか、具体的な例を挙げて説明します。

形式的当事者訴訟の例

Aさんが、工場の操業によって健康被害を受けたため、工場を運営する会社に対して損害賠償を請求する場合を考えてみましょう。
この場合、Aさんは、工場が違法な行為(例えば、排気ガスの規制違反)を行ったことによって損害を受けたことを主張します。
裁判所は、Aさんの損害と工場の行為との因果関係、賠償額などを判断します。

実質的当事者訴訟の例

Bさんが、自分の土地に建物を建てようと建築確認申請を行ったところ、行政庁から不許可処分を受けた場合を考えてみましょう。
Bさんは、この不許可処分が違法であるとして、取り消しを求める訴訟を起こすことができます。
裁判所は、不許可処分の根拠となった法令の解釈や、Bさんの申請内容が法令に適合しているかどうかなどを判断します。

当事者訴訟と他の訴訟との違い

行政事件訴訟には、当事者訴訟の他に、「抗告訴訟」というものがあります。
これらの違いを理解することも重要です。

抗告訴訟

行政庁の処分や裁決(行政不服審査の結果)の違法性を争う訴訟です。
例えば、運転免許の停止処分を取り消す訴訟などが該当します。
抗告訴訟は、行政庁の処分そのものを争うため、訴訟の対象が明確です。

当事者訴訟

行政庁の処分を前提としつつ、当事者間の権利関係を争う場合や、行政庁の処分によって直接権利が侵害された場合に、その処分の有効性を争う場合に利用されます。
当事者訴訟は、抗告訴訟よりも訴訟の対象が多岐にわたります。

簡単に言うと、抗告訴訟は「行政の処分が間違っている!」と直接訴える訴訟、当事者訴訟は「この権利関係はどうなっているんだ?」「この処分は有効なの?」と、より広い範囲の問題を扱う訴訟です。

当事者訴訟を起こす際の注意点

当事者訴訟を起こす際には、いくつかの注意点があります。

訴訟の対象を明確にする

形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟のどちらに該当するのかを正確に判断し、訴えるべき相手(国や地方公共団体)を特定する必要があります。

証拠の収集

自分の主張を裏付けるための証拠を収集し、裁判所に提出する必要があります。
証拠には、文書、写真、録音、証言などがあります。

専門家への相談

法律の専門家である弁護士に相談し、訴訟の準備や手続きについてアドバイスを受けることが重要です。
弁護士は、訴訟の戦略を立て、書類の作成をサポートしてくれます。

専門家に相談すべき場合とその理由

当事者訴訟を起こすかどうか迷っている場合や、訴訟の手続きについて不安がある場合は、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

法的判断の必要性

訴訟を起こすためには、法律の専門的な知識が必要となります。
弁護士は、法律に基づいて、あなたのケースが当事者訴訟に該当するかどうか、勝訴の見込みがあるかどうかなどを判断してくれます。

手続きの複雑さ

訴訟の手続きは複雑であり、専門的な知識がないと、適切な対応が難しい場合があります。
弁護士は、訴状の作成、証拠の収集、裁判所とのやり取りなど、訴訟に関する様々な手続きを代行してくれます。

精神的なサポート

訴訟は、精神的な負担が大きいものです。
弁護士は、あなたの状況を理解し、精神的なサポートをしてくれます。

まとめ:当事者訴訟の重要ポイント

今回の解説の重要ポイントをまとめます。

  • 当事者訴訟は、行政を相手に権利や義務を確認するための裁判です。
  • 形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟の2種類があります。
  • 形式的当事者訴訟は、当事者間の具体的な権利関係を確定する訴訟です。
  • 実質的当事者訴訟は、行政庁の処分の有効性を争う訴訟です。
  • 訴訟を起こす際には、専門家である弁護士に相談することが重要です。

当事者訴訟は、国民の権利を守るための重要な手段です。
今回の解説が、当事者訴訟を理解するための一助となれば幸いです。