・テーマの基礎知識:利回りって何?

収益物件(アパートやマンションなど、家賃収入を得る目的で購入する不動産)の投資を検討する際、
「利回り」という言葉をよく耳にすると思います。
利回りとは、投資した金額に対して、どれだけの利益が得られるかを示す割合のことです。
簡単に言うと、
「その物件に投資したら、年間でどれくらい儲かるの?」
ということを示す指標です。利回りが高いほど、効率よく利益を得られる可能性が高いと言えます。
しかし、利回りだけで物件の良し悪しを判断するのは危険です。
物件の立地条件、築年数、管理状況なども考慮する必要があります。

利回りにはいくつかの種類があり、それぞれ計算方法や考慮する要素が異なります。
今回解説する「表面利回り」と「実質利回り」は、
不動産投資において非常に重要な指標です。
これらの違いを理解することで、より正確な物件選びができるようになります。

・今回のケースへの直接的な回答:表面利回りと実質利回りの違い

表面利回りと実質利回りは、どちらも収益物件の収益性を示す指標ですが、
考慮する要素が異なります
それぞれの計算方法と、どのような場合に役立つのかを説明します。

・表面利回り

表面利回りとは、
年間の家賃収入を、物件の購入価格で割って算出する利回りのことです。
非常にシンプルな計算式で、物件の収益性を大まかに把握する際に役立ちます。

計算式は以下の通りです。

表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100

例えば、4,000万円で購入した物件の年間家賃収入が400万円の場合、表面利回りは10%となります。

(400万円 ÷ 4,000万円 × 100 = 10%)

表面利回りのメリットは、
計算が簡単で、物件の比較がしやすいことです。
多くの不動産情報サイトや広告で表示されているため、複数の物件を比較検討する際に便利です。
しかし、表面利回りは、
物件の運営にかかる費用(管理費、修繕積立金、固定資産税など)を考慮していません
そのため、表面利回りだけで物件の収益性を判断するのは危険です。

・実質利回り

実質利回りとは、
年間の家賃収入から、物件の運営にかかる費用を差し引いた金額を、物件の購入価格で割って算出する利回りのことです。
表面利回りよりも、
より現実的な収益性を把握できる指標です。

計算式は以下の通りです。

実質利回り(%)= (年間の家賃収入 − 年間の諸費用)÷ 物件の購入価格 × 100

年間の諸費用には、以下のようなものが含まれます。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 火災保険料
  • 賃貸管理委託料

例えば、4,000万円で購入した物件の年間家賃収入が400万円、年間の諸費用が100万円の場合、実質利回りは7.5%となります。

((400万円 − 100万円)÷ 4,000万円 × 100 = 7.5%)

実質利回りのメリットは、
より正確な収益性を把握できることです。
物件の運営にかかる費用を考慮することで、
実際のキャッシュフロー(手元に残るお金)に近い数値を算出できます
ただし、年間の諸費用は物件によって異なるため、事前にしっかりと確認する必要があります。

・関係する法律や制度:不動産投資に関わる税金

不動産投資を行う際には、さまざまな税金が発生します。
これらの税金を理解しておくことも、
実質利回りを正確に把握するために重要です。
主な税金としては、以下のものがあります。

  • 固定資産税・都市計画税:
    毎年1月1日時点での不動産の所有者に対して課税されます。
    固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課税され、都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物に対して課税されます。
  • 所得税・住民税:
    不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いたもの)に対して課税されます。
    確定申告が必要になります。
  • 不動産取得税:
    不動産を取得した際に一度だけ課税されます。
    土地や建物の取得価格に応じて税額が決定されます。

これらの税金は、実質利回りの計算に影響するため、
事前に税理士や不動産会社に相談し、正確な金額を把握しておくことが大切です。

・誤解されがちなポイントの整理:表面利回りの落とし穴

表面利回りは、手軽に物件の収益性を比較できる便利な指標ですが、
いくつかの落とし穴があります
表面利回りだけで判断すると、
実際の収益性を見誤る可能性があるため注意が必要です。
以下に、よくある誤解と注意点を紹介します。

  • 空室率を考慮していない:
    表面利回りは、満室の状態を前提として計算されます。
    しかし、実際には空室が発生する可能性があり、
    空室期間中は家賃収入が得られません
    物件を選ぶ際は、周辺地域の空室率や、過去の空室状況などを確認し、
    空室リスクを考慮した上で判断することが重要です。
  • 修繕費などの費用を考慮していない:
    表面利回りは、物件の運営にかかる費用を考慮していません。
    大規模修繕や、設備の交換など、
    将来的に発生する可能性がある費用を考慮する必要があります
    これらの費用を考慮せずに物件を購入すると、
    予想以上にキャッシュフローが悪化する可能性があります。
  • 融資条件を考慮していない:
    不動産投資では、融資を利用することが一般的です。
    表面利回りは、融資の金利や返済額を考慮していません。
    融資条件によって、手元に残るお金(キャッシュフロー)が大きく変わるため、
    融資条件も含めて総合的に判断することが大切です。

・実務的なアドバイスや具体例の紹介:物件選びのポイント

収益物件を選ぶ際には、表面利回りと実質利回りの両方を参考にし、
多角的に検討することが重要です。
以下に、物件選びの具体的なポイントを紹介します。

  • 表面利回りの確認:
    まずは、複数の物件の表面利回りを比較し、
    大まかな収益性を把握します。
    表面利回りが高い物件は魅力的ですが、
    必ず実質利回りも確認しましょう。
  • 実質利回りの計算:
    年間の家賃収入と、年間の諸費用を詳細に計算し、実質利回りを算出します。
    諸費用には、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、賃貸管理委託料などを含めます
    過去の修繕履歴や、将来的な修繕計画なども確認し、
    将来的に発生する費用も考慮しましょう。
  • キャッシュフローの確認:
    実質利回りに加えて、
    キャッシュフロー(手元に残るお金)も確認しましょう。
    融資を利用する場合は、
    ローンの返済額を考慮してキャッシュフローを計算します。
    キャッシュフローがプラスであれば、
    安定した不動産投資が可能になります。
  • 周辺環境の調査:
    物件の立地条件や周辺環境も重要です。
    最寄りの駅からの距離、周辺の商業施設、治安、将来的な開発計画などを調査しましょう。
    入居者のニーズに合った物件を選ぶことで、
    空室リスクを低減できます
  • 専門家への相談:
    不動産投資に関する知識や経験が少ない場合は、
    不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
    専門家のアドバイスを受けることで、
    より安全で、成功しやすい不動産投資が可能になります。

・専門家に相談すべき場合とその理由:プロの力を借りよう

不動産投資は、
大きな金額が動く取引であり、専門的な知識が必要です。
以下のような場合は、
専門家への相談を検討しましょう。

  • 不動産投資の経験がない場合:
    不動産投資に関する知識や経験がない場合は、
    専門家のアドバイスを受けることで、リスクを軽減できます
    不動産会社やファイナンシャルプランナーは、
    物件選び、資金計画、税金対策など、様々な面でサポートしてくれます。
  • 物件の選定に迷っている場合:
    複数の物件で迷っている場合は、
    専門家が客観的な視点からアドバイスをしてくれます。
    物件の収益性だけでなく、
    将来的な価値やリスクなども考慮して、最適な物件を選定してくれます。
  • 税金や法律に関する疑問がある場合:
    不動産投資には、税金や法律に関する専門知識が必要です。
    税理士や弁護士に相談することで、
    税金対策や法的リスクへの対応ができます。
  • 資金計画に不安がある場合:
    不動産投資には、多額の資金が必要です。
    ファイナンシャルプランナーに相談することで、
    無理のない資金計画を立てることができます
    ローンの選び方や、
    返済計画についてもアドバイスを受けることができます。

・まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回は、不動産投資における「表面利回り」と「実質利回り」について解説しました。
これらの言葉の意味を理解し、物件選びに役立てましょう。

  • 表面利回りは、
    年間の家賃収入を物件の購入価格で割って算出します。
    計算が簡単で、物件の比較に便利ですが、
    運営にかかる費用を考慮していません
  • 実質利回りは、
    年間の家賃収入から諸費用を差し引いた金額を、物件の購入価格で割って算出します。
    より現実的な収益性を把握できますが、
    諸費用の詳細な確認が必要です。
  • 物件を選ぶ際は、表面利回りと実質利回りの両方を参考に、
    周辺環境やキャッシュフローなども考慮しましょう。
  • 不動産投資に不安がある場合は、
    不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。

これらのポイントを踏まえ、
賢い不動産投資を行いましょう。