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認知症の父と老朽化した家:居住用不動産売却と家庭裁判所許可の必要性
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父の居住用不動産を売却したいと考えていますが、家庭裁判所の許可が必要なのかどうか、また、許可を得られる可能性は高いのかどうかが不安です。特に、父が認知症で今後居住する可能性が低いこと、母も高齢で維持管理が困難であることを理由に許可が下りるのかどうかが心配です。
まず、認知症の方が所有する不動産を売却する場合、その方が意思決定能力(*2)を有しているかどうかが重要になります。重度の認知症の場合、ご本人が売却を意思決定することは困難です。そのため、法定後見人である長女さんが、家庭裁判所の許可を得て売却手続きを進める必要があります。これは、被後見人(*3)の権利と利益を守るための法律上の手続きです。
質問のケースでは、被後見人である父親が重度の認知症で、今後居住する可能性が極めて低いこと、そして老朽化した住宅の維持管理が負担になっていることが理由として挙げられています。これらの状況は、家庭裁判所が許可を判断する際に重要な要素となります。
成年後見制度(*4)は、認知症などによって判断能力が不十分な方を保護するために設けられた制度です。この制度に基づき、後見人は被後見人の財産管理を行います。不動産売却のような重要な財産処分は、原則として家庭裁判所の許可が必要です。民法では、後見人が単独で判断して行うことができない行為(例えば、高額な財産処分)を「特別代理権限行為」(*5)と規定しており、許可を得る必要があります。
後見人だからといって、自由に財産を処分できるわけではありません。後見人は、常に被後見人の利益を最優先しなければなりません。今回のケースでは、老朽化した住宅に住み続けることが被後見人の利益に反すると判断できるため、売却は認められる可能性が高いです。しかし、後見人が自分の利益のために売却しようとするなど、被後見人の利益を優先しない行為は認められません。
家庭裁判所に許可申請を行う際には、以下の書類が必要になります。
* 申請書
* 被後見人の戸籍謄本
* 不動産の登記簿謄本
* 売買契約書
* 鑑定評価書(不動産の価格を専門家が評価した書類)
* 後見人の意見書(売却の必要性や理由を詳しく説明した書類)
これらの書類を準備し、家庭裁判所に提出します。裁判所は、これらの書類に基づいて、売却が被後見人の利益に合致するかどうかを判断します。
不動産売却に関する法律や手続きは複雑です。不安な点があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。特に、相続や財産管理に詳しい専門家を選ぶことが重要です。専門家は、適切な手続きを進めるためのアドバイスやサポートをしてくれます。
今回のケースでは、被後見人の認知症の状況、老朽化した住宅の維持管理の困難さ、地震への不安などから、家庭裁判所は不動産売却を許可する可能性が高いと考えられます。しかし、手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。常に被後見人の利益を最優先し、適切な手続きを進めることが大切です。
*1 法定後見人:家庭裁判所によって選任された後見人
*2 意思決定能力:自分の意思で物事を判断し、決定できる能力
*3 被後見人:判断能力が不十分なため、後見人の援助を必要とする人
*4 成年後見制度:成年後見人を選任し、判断能力が不十分な方を保護する制度
*5 特別代理権限行為:後見人が単独では行えない行為
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