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認知症の祖父の自宅売却:権利書と相続、生前贈与の問題点

【背景】
* 祖父(認知症)が自宅で転倒し、骨折して入院中。
* 自宅に戻ることができず、維持費もかかるため売却を検討。
* 祖父の姪(叔母)が自宅を片付け、権利書を所持。

【悩み】
相続権のない叔母が、祖父の自宅を売却することはできるのか?また、生前贈与にはならないのか?

相続権のない叔母は、祖父の同意なく自宅を売却できません。生前贈与にはなりません。

相続と所有権の基礎知識

まず、相続(そうぞく)とは、人が亡くなった際に、その人の財産(ざいさん)が相続人(そうぞくにん)に引き継がれることです。相続人には、法律で定められた順位があり、配偶者(はいぐうしゃ)、子、親などが該当します。 今回のケースでは、祖父が亡くなった際に、相続人が祖父の自宅を相続することになります。

所有権(しょゆうけん)とは、物(この場合は自宅)を自由に使う、貸す、売るなどの権利のことです。祖父は現在も自宅の所有権を持っています。権利書(所有権を証明する書類)は、所有権を証明するものであり、所有権そのものではありません。叔母が権利書を所持していても、所有権は祖父にあります。

今回のケースへの直接的な回答

叔母は、祖父の同意を得ずに自宅を売却することはできません。祖父は認知症であるため、判断能力(自分が何をしているか理解し、意思決定できる能力)が不十分である可能性が高いです。 仮に、叔母が祖父の同意を得ていたとしても、その同意が本当に祖父の意思に基づいているのか、疑問が残ります。

成年後見制度と法的保護

祖父は認知症であるため、成年後見制度(せいねんこうけんせいど)を利用することが考えられます。成年後見制度とは、判断能力が不十分な人の財産や身を守るための制度です。 家庭裁判所(かていさいばんしょ)に申し立てを行い、後見人(こうけんにん)を選任(せんにん)してもらうことで、後見人が祖父の財産管理や法律行為(契約など)を行うことができます。

誤解されがちなポイントの整理

「権利書を持っているから売れる」という誤解は非常に多いです。権利書は所有権を証明する書類に過ぎず、所有権そのものではありません。所有権者は祖父であり、祖父の同意なしに売却することはできません。

また、叔母が自宅を片付けたり、維持費を負担しているからといって、自動的に売却権が発生するわけではありません。善意(ぜんい)で行動していても、法律上は所有権を侵害(しんがい)することになります。

実務的なアドバイスと具体例

まず、祖父の状況を把握するために、医師やケアマネージャー(介護支援専門員)に相談することが重要です。成年後見制度の利用を検討し、後見人に売却の可否を判断してもらう必要があります。

もし、売却する場合は、公正証書(こうせいしょうしょ)による売買契約を結び、手続きを適切に行う必要があります。公正証書とは、公証役場(こうしょうやくじょう)で作成される、法的効力(ほうてきこうりょく)の高い契約書です。

専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースは、法律的な知識が必要な複雑な問題です。弁護士(べんごし)や司法書士(しほうしょし)などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、適切な手続きや成年後見制度の利用方法などをアドバイスしてくれます。

まとめ

認知症の祖父の自宅売却は、相続や成年後見制度に関する深い知識が必要な複雑な問題です。叔母は、祖父の同意を得ずに自宅を売却することはできません。専門家の適切なアドバイスを得ながら、慎重に進めることが重要です。 権利書は所有権を証明する書類であり、所有権そのものではないことを理解しましょう。

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