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認知症の長男が居住する不動産の相続:分割協議と登記手続きの疑問を解消

亡父の不動産の遺産相続を三人兄弟で分割協議相続する場合で、長男が認知症なので分割分の登記できないのですが、該当不動産に長男家族が居住しており、且つ退去は不可能です。長男に居住分の不動産相続の分割協議書を作成し、死後に長男の家族が登記することが出来るのでしょうか?また、他に対処方法がありますか?ご指導下さい。
死後、長男の相続人による登記は可能です。ただし、成年後見人の選任など、別途手続きが必要です。

1.相続と分割協議:基本的な仕組み

相続とは、人が亡くなった際に、その財産(不動産、預金、動産など)が相続人に引き継がれることです。相続人は、法律で定められた順位(民法第900条)に従って決定されます。今回のケースでは、亡父の子である三兄弟が相続人となります。

分割協議とは、相続人全員で話し合って、相続財産をどのように分けるかを決めることです。遺産分割協議書を作成し、署名・押印することで、法律上有効となります。この協議書に基づいて、不動産の所有権の移転登記が行われます。

2.認知症の長男と遺産分割協議

長男が認知症である場合、自ら意思決定し、遺産分割協議書に署名・押印することが困難です。そのため、そのままでは分割協議が成立しません。

法律上、判断能力が不十分な方は、単独で重要な契約(遺産分割協議も含まれます)を締結できません。

3.成年後見制度の活用

認知症の長男のために、成年後見制度(民法第11条以下)を利用することが有効です。成年後見制度とは、判断能力が不十分な人のために、後見人を選任し、財産管理や身上監護を行う制度です。

後見人には、次の3種類があります。

  • 成年後見人:判断能力が著しく不十分な場合に選任され、幅広い権限を持ちます。
  • 保佐人:判断能力がやや不十分な場合に選任され、財産管理に関する権限が限定されます。
  • 補助人:判断能力が比較的良好な場合に選任され、契約行為への補助を行います。

家庭裁判所に申し立て、長男の状況に応じて適切な後見人を選任してもらう必要があります。後見人が選任されれば、後見人が長男に代わって遺産分割協議に参加し、署名・押印することができます。

4.長男家族の居住と相続

長男家族が不動産に居住していることは、相続手続きに直接影響しません。ただし、遺産分割協議において、居住権(不動産を使用する権利)の扱いを明確にする必要があります。

例えば、長男家族が引き続き居住できること、または一定期間後に退去することなどを、協議書に明記します。

5.死後における登記手続き

長男が亡くなった後、長男の相続人(おそらく長男の配偶者と子供たち)が、長男の相続分を相続します。その際に、遺産分割協議書に基づいて、不動産の所有権の移転登記を行うことができます。

6.その他の対処方法

成年後見制度以外にも、次の方法が考えられます。

  • 任意後見契約:判断能力が低下する前に、任意後見契約を締結しておけば、将来、後見人が選任されやすくなります。
  • 遺産分割協議の延期:長男の状態が改善するまで、遺産分割協議を延期することも可能です。

7.専門家への相談

相続問題は複雑で、法律の知識が必要となる場合があります。弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、適切な手続きを進めることができます。特に、成年後見制度の利用や遺産分割協議の内容については、専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。

8.まとめ

認知症の長男が居住する不動産の相続は、成年後見制度の活用が不可欠です。専門家の適切なアドバイスを受けながら、遺産分割協議を進めることで、円滑な相続手続きを行うことができます。焦らず、一つずつ丁寧に手続きを進めていきましょう。

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