認知症高齢者の相続：通帳紛失でも相続は可能？手続きと注意点

１．相続の基礎知識

相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産（預貯金、不動産、有価証券など）が、法律で定められた相続人に引き継がれることです。（民法877条）。相続人は、配偶者、子、親など、法律で定められた親族です。相続の開始は、被相続人（亡くなった人）の死亡によって確定します。

２．通帳紛失と相続手続き

通帳が紛失していても、相続自体は可能です。ただし、相続財産を特定するために、相続財産調査が必要になります。これは、被相続人の預金残高、不動産、有価証券などの財産を洗い出す作業です。銀行口座については、相続関係を証明する書類（戸籍謄本、相続放棄届など）を銀行に提出することで、残高の確認や相続手続きを進めることができます。

３．相続手続きの流れ

相続手続きは、大きく分けて以下の３つのステップがあります。

• 相続財産の調査：被相続人の預金、不動産、有価証券などの財産を洗い出します。銀行や証券会社、不動産会社などに問い合わせる必要があります。
• 遺産分割協議：相続人全員で話し合い、相続財産をどのように分けるかを決めます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
• 相続登記：不動産を相続した場合、相続登記を行う必要があります。これは、登記所に相続を届け出て、所有権の移転を登記することです。

４．関係する法律と制度

相続に関する法律は、主に民法が規定しています。特に、相続の開始、相続人の範囲、遺産分割などについては、民法の規定が重要となります。また、相続税法は、相続税の計算方法や納税方法を規定しています。

５．誤解されがちなポイント

「通帳がないと相続できない」という誤解がありますが、これは間違いです。通帳は財産の証拠の一つに過ぎません。相続財産調査によって、通帳の有無に関わらず、相続財産を特定することができます。

６．実務的なアドバイスと具体例

相続手続きは複雑で、専門知識が必要です。相続専門の弁護士や税理士に相談することをお勧めします。特に、相続財産の調査、遺産分割協議、相続税の申告など、専門家の助けを借りることで、スムーズに手続きを進めることができます。

例えば、複数の相続人がいる場合、遺産分割協議が難航する可能性があります。弁護士などの専門家は、相続人同士の交渉を円滑に進めるサポートをしてくれます。

７．専門家に相談すべき場合とその理由

相続手続きに不安がある場合、または相続争いが起こりそうな場合は、専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、法律的な知識に基づいて適切なアドバイスを行い、トラブルを回避するお手伝いをしてくれます。特に、高額な財産を相続する場合や、相続人が多数いる場合は、専門家のサポートが不可欠です。

８．まとめ

通帳が紛失していても、相続は可能です。しかし、相続手続きは複雑なため、専門家のサポートを受けることが重要です。相続財産の調査、遺産分割協議、相続登記など、各段階で専門家のアドバイスを受けることで、スムーズに相続手続きを進めることができます。早めの準備と相談で、相続トラブルを未然に防ぎましょう。