負動産相続と固定資産税：700km離れた実家の負担を回避する方法

【背景】
* 弟が実家の不動産相続を代理人を通じて引き受けると言っていたが、その後、代理人から引き受けられないと連絡があった。
* 実家の不動産は負動産（価値が低い、または負債を抱えている不動産）である。
* 父母の介護後、転居届を出したが、郵便局の手違いで亡き父への固定資産税請求が私の自宅に届いた。
* 収納課に問い合わせたところ、代表相続人が決まらないため、便宜上、亡き父に請求しているとのことだった。
* 実家と私の自宅は700km離れているため、実家の不動産管理は困難。弟は1時間程度で実家に帰れる距離に住んでいる。

【悩み】
便宜上の処置とはいえ、このままでは固定資産税の延滞料金請求や、預金差し押さえなどの可能性がある。しかし、安易に支払うと、永久的に固定資産税を納め続けることになるのではないかと不安に思っている。ベストな解決策を知りたい。

相続放棄手続きを行い、弟に相続を促す。

回答と解説

テーマの基礎知識（定義や前提の説明）

まず、いくつかの重要な概念を理解しましょう。

* **負動産:** 維持管理費用（固定資産税、修繕費など）が売却価格を上回り、資産価値がほとんどない、もしくは負債を抱えている不動産のことです。
* **相続放棄:** 相続開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をすることで、相続財産（負動産を含む）の権利と義務を一切負わないようにできる制度です。（民法第915条）
* **固定資産税:** 土地や家屋などの固定資産を所有している人が、毎年支払う地方税です。相続が発生した場合、相続開始（被相続人が死亡した日）の時点で、相続人にその所有権が移転します。
* **代表相続人:** 相続人が複数いる場合、相続財産管理のために、相続人の中から一人を代表相続人に選任することがあります。選任されない場合、税務署などの行政機関は、便宜上、相続人の一人に請求を行うことがあります。

今回のケースへの直接的な回答

質問者様は、700km離れた負動産を管理することが困難であり、安易に固定資産税を支払うことに不安を感じているとのことです。まずは、相続放棄の手続きを検討することをお勧めします。相続放棄をすれば、固定資産税の支払義務もなくなります。ただし、相続放棄には期限がありますので、速やかに手続きを進める必要があります。弟さんに相続を促し、弟さんが相続する意思がない場合は、相続放棄の手続きを進めるべきです。

関係する法律や制度がある場合は明記

民法第915条に基づく相続放棄が関係します。相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。期限を過ぎると、相続放棄はできなくなります。

誤解されがちなポイントの整理

「便宜上の処置」という言葉に惑わされないようにしましょう。収納課が便宜上、亡き父に請求しているとはいえ、最終的には相続人が固定資産税を支払う責任を負います。相続放棄をしないと、延滞金が発生し、将来的には差し押さえなどの可能性も出てきます。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

1. **相続放棄の手続き:** 家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。弁護士に依頼するとスムーズに進みます。
2. **弟さんとの話し合い:** 弟さんと話し合い、相続の意思を確認しましょう。弟さんが相続を希望しない場合、相続放棄の手続きを進めることを検討します。
3. **収納課への連絡:** 相続放棄の手続きを進めていることを収納課に連絡しましょう。
4. **弁護士への相談:** 相続や固定資産税に関する専門的な知識が必要な場合、弁護士に相談することをお勧めします。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続放棄の手続きは、期限や手続きが複雑なため、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。特に、負動産を相続した場合、様々な問題が発生する可能性があります。専門家の助言を受けることで、適切な対応を取ることができ、トラブルを回避できます。

まとめ（今回の重要ポイントのおさらい）

700km離れた負動産を管理するのは困難です。相続放棄は、固定資産税の支払義務から解放される有効な手段です。しかし、期限があるため、迅速な行動が必要です。弁護士などの専門家に相談し、状況に合わせた最適な解決策を見つけることが重要です。弟さんとのコミュニケーションも、解決への重要な鍵となります。