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賃借人の「第三者」としての扱い:虚偽表示と登記のからくりを徹底解説
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民法上の「第三者」の定義と、虚偽表示における「第三者」の扱いの違いが分かりません。具体的に何が違うのか、そして、私のマンション賃貸借契約において、登記の有無がどのような影響を与えるのか知りたいです。
まず、不動産登記(不動産の所有権や抵当権などの権利関係を公示する制度)の目的は、不動産の所有権や他の権利関係を明確にし、取引の安全性を確保することです。 登記簿に記載された権利だけが、第三者に対抗できる(権利を主張できる)とされています。
民法では、不動産の賃借人は、所有者と賃借契約を結んだ「第三者」とみなされます。 そのため、所有権の移転登記がされていない場合でも、賃借人は、その契約に基づいて、賃借権(その不動産を借りる権利)を行使できます。 しかし、これは、所有権の移転が「有効」な場合の話です。
虚偽表示とは、所有権移転の意思がないのに、登記簿に所有権移転を装う行為です(例:実際には売買契約がないのに、登記簿上は売買されたように見せかける)。仮装譲渡は、虚偽表示の一種で、所有権を移転したように見せかけることで、債権者から財産を隠すことを目的とするケースが多いです。
最高裁判所昭和29年11月28日判決は、仮装譲渡された土地の賃借人が、その仮装譲渡を知らなかったとしても、第三者として保護されないケースがあることを示しました。 これは、仮装譲渡という不正な行為に加担したとみなされる可能性があるためです。
この判例が示す重要な点は、「善意(その事実を知らず、知るべき理由もなかったこと)」「無過失(過失なくその事実を知ることができなかったこと)」の要件です。 仮装譲渡を知らず、かつ、知るべき理由もなかった(例えば、通常の手続きで賃貸契約を結んだなど)賃借人は、第三者として保護される可能性が高いです。 逆に、仮装譲渡を認識していたり、認識すべきだった場合は、保護されません。
不動産を賃貸借する際には、所有権の登記状況を確認することは重要です。 しかし、仮装譲渡のような不正行為を見抜くのは容易ではありません。 そのため、信頼できる不動産会社に依頼したり、必要であれば、登記簿謄本(不動産の登記内容が記載された書類)を取得して確認することをお勧めします。
不動産に関するトラブルは、複雑な法律知識を必要とする場合があります。 登記に関する問題や、虚偽表示に巻き込まれた可能性がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。 専門家は、状況を的確に判断し、適切なアドバイスや法的措置を提案してくれます。
賃借人は原則として第三者ですが、虚偽表示、特に仮装譲渡の場合、善意・無過失の要件が重要になります。 登記の有無だけでなく、契約の経緯や状況を総合的に判断する必要があります。 不安な点があれば、専門家の力を借りましょう。 不動産取引は高額な取引であるため、専門家のアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。
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