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遺産分割協議書に署名後、遺留分を主張できる? 遺産分割の疑問を解決

質問の概要

【背景】

  • 今年6月に父が亡くなり、遺産分割協議書に署名・捺印しました。
  • 後になって、遺留分(相続人が最低限受け取れる遺産の割合)の存在を知りました。
  • 遺産分割の内容が、自分の取り分が少ないように感じています。
  • 要介護の両親の面倒をみていた兄に、家と土地、株、現金が、認知症の母に現金が、自分には現金のみが相続されることになりました。
  • 遺留分を計算すると、本来受け取れる額よりも少ないようです。
  • 署名・捺印してしまったので、もうどうしようもないのか不安です。
  • 母に頼まれて、言いなりになってしまった部分もあります。
  • 遺産分割協議書自体もまだ受け取っていません。

【悩み】

  • 遺産分割協議書に署名・捺印した後でも、遺留分を主張できるのか知りたいです。
  • 遺産分割協議書をもらっておくべきか迷っています。
署名・捺印後でも、条件次第で遺留分を請求できる可能性があります。遺産分割協議書は必ず受け取りましょう。

回答と解説

テーマの基礎知識:遺産分割と遺留分とは?

まず、今回のテーマで重要な「遺産分割」と「遺留分」について、基本的な知識を整理しましょう。

遺産分割とは、亡くなった人(被相続人(ひそうぞくにん))の遺産を、相続人(そうぞくにん)で分け合う手続きのことです。
遺産には、現金、預貯金、不動産、株式など、様々なものが含まれます。遺産分割は、相続人全員の合意に基づいて行われます。
合意の内容をまとめたものが「遺産分割協議書」です。

一方、遺留分とは、相続人に保障された、最低限の遺産取得分です。
民法では、兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められています。
遺言書の内容や、遺産分割の結果が、この遺留分を侵害している場合、相続人は、遺留分を侵害している人に対して、自分の取り分を請求することができます。
これを「遺留分侵害額請求」といいます。

今回のケースでは、遺産分割協議書に署名・捺印した後でも、遺留分を主張できるのか、という点が問題となります。

今回のケースへの直接的な回答

今回のケースでは、遺産分割協議書に署名・捺印した後であっても、遺留分の請求ができる可能性があります。
ただし、いくつかの注意点があります。

まず、遺留分を侵害されているかどうかを正確に計算する必要があります。
そのためには、遺産の総額を確定し、各相続人の法定相続分(法律で定められた相続の割合)を基に、遺留分の割合を計算します。
今回のケースでは、ご自身の取り分が少ないと感じているとのことですので、まずは専門家(弁護士など)に相談し、遺留分の計算をしてもらうことをお勧めします。

次に、遺留分を請求するには、原則として、遺留分侵害額請求を行う必要があります。
これは、遺留分を侵害している人に対して、不足している分の遺産を渡すように求める手続きです。
この請求は、相続開始と遺留分を侵害していることを知ってから1年以内に行う必要があります(民法1042条)。
この期間を過ぎると、請求権は時効によって消滅してしまいますので注意が必要です。

また、遺産分割協議書に署名・捺印したということは、原則として、その内容に合意したことになります。
しかし、今回のケースのように、遺留分の存在を知らなかった場合や、認知症の母親に頼まれて、不利な条件で合意してしまったような場合には、例外的に、遺産分割協議書を無効にできる可能性があります。
この点についても、専門家にご相談ください。

関係する法律や制度

今回のケースに関係する主な法律は、以下のとおりです。

  • 民法:相続に関する基本的なルールを定めています。遺産分割、遺留分、遺言など、相続に関する様々な規定があります。
  • 遺留分に関する規定:相続人の権利を保護するために、遺留分に関する詳細なルールが定められています。遺留分の割合、遺留分侵害額請求の方法などが規定されています。

また、今回のケースでは、認知症の母親が関係しているため、成年後見制度も関係してくる可能性があります。
成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が低下した人のために、財産管理や身上監護を支援する制度です。
母親が判断能力を失っている場合、成年後見人を選任することで、母親の財産を守ることができます。

誤解されがちなポイントの整理

遺産分割や遺留分について、よくある誤解を整理しておきましょう。

  • 誤解1:遺産分割協議書に署名したら、絶対に覆せない

    いいえ、必ずしもそうではありません。遺留分の問題や、署名に至った経緯によっては、遺産分割協議書を無効にできる可能性があります。
  • 誤解2:遺留分は自動的に受け取れる

    いいえ、遺留分を請求するには、遺留分侵害額請求という手続きが必要です。
  • 誤解3:遺留分は必ず現金で受け取れる

    いいえ、必ずしも現金で受け取れるとは限りません。
    遺留分を侵害している人が、現金で支払うことが難しい場合には、不動産などで支払われることもあります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

今回のケースで、具体的にどのような行動をとるべきか、アドバイスします。

  • ステップ1:専門家への相談

    まずは、弁護士などの専門家に相談しましょう。
    遺産の状況を詳しく説明し、遺留分の計算や、今後の手続きについてアドバイスをもらいましょう。
    弁護士は、遺産分割協議書の有効性や、遺留分侵害額請求の可能性などについて、専門的な見地から判断してくれます。
  • ステップ2:遺産分割協議書の確認

    遺産分割協議書をまだ受け取っていないとのことですので、すぐに受け取りましょう。
    内容をよく確認し、不明な点があれば、専門家に相談しましょう。
    遺産分割協議書には、遺産の分割方法や、各相続人の取り分などが記載されています。
  • ステップ3:遺留分の計算

    専門家と協力して、遺産の総額を確定し、遺留分の計算を行いましょう。
    遺留分を侵害されている場合には、その金額を明確にしましょう。
  • ステップ4:遺留分侵害額請求

    遺留分を侵害されていることが判明したら、遺留分侵害額請求の手続きを行いましょう。
    この手続きは、内容証明郵便などで行うのが一般的です。
    専門家のサポートを受けながら、適切に進めましょう。
  • 具体例

    例えば、今回のケースで、兄が家と土地、株、現金を受け取り、ご自身が少額の現金しか受け取れない場合を考えてみましょう。
    遺留分を計算した結果、500万円の遺留分があることが判明したとします。
    この場合、兄に対して、500万円を支払うように請求することができます。
    兄がすぐに500万円を支払えない場合には、不動産の一部を譲り渡すなど、別の方法で解決することもあります。

専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースでは、専門家への相談が不可欠です。
以下のような場合には、必ず専門家に相談しましょう。

  • 遺留分の計算が複雑な場合:遺産の構成が複雑であったり、相続人が多い場合など、遺留分の計算が難しい場合には、専門家のサポートが必要です。
  • 遺産分割協議書の内容に納得できない場合:遺産分割協議書の内容に納得できない場合や、署名・捺印したことに後悔している場合には、専門家に相談し、その有効性や、取り消しの可能性について検討してもらいましょう。
  • 他の相続人との話し合いが難航する場合:他の相続人との話し合いがうまくいかない場合や、感情的な対立がある場合には、専門家が間に入り、円滑な解決を目指すことができます。
  • 法的知識が必要な場合:遺留分侵害額請求などの手続きには、専門的な法的知識が必要です。
    ご自身だけで対応するのは難しいため、専門家のサポートを受けましょう。

相談する専門家としては、弁護士が最適です。
弁護士は、法律の専門家であり、遺産分割や遺留分に関する豊富な経験を持っています。
また、弁護士は、他の専門家(税理士など)とも連携して、総合的なサポートを提供することができます。

まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回のケースの重要ポイントをまとめます。

  • 遺産分割協議書に署名・捺印した後でも、遺留分を請求できる可能性がある。
  • 遺留分を請求するには、遺留分侵害額請求の手続きが必要。
  • 遺留分の計算や、手続きは複雑なので、専門家(弁護士など)に相談することが重要。
  • 遺産分割協議書の内容に納得できない場合や、署名・捺印に問題がある場合は、専門家に相談する。
  • 遺産分割協議書は必ず受け取り、内容を確認する。

今回のケースでは、ご自身の権利を守るために、積極的に行動することが大切です。
まずは、専門家に相談し、適切なアドバイスを受けながら、遺産分割の問題を解決しましょう。

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